高校受験の英語で点数が伸びる勉強の考え方
英語は、積み重ねた分だけ点数に表れやすい教科です。ただ、手当たり次第に問題集を解いても、思うように成績が上がらないことがあります。勉強を始める前に、入試英語の特徴と自分の弱点、そして目標までの道筋を確認しておくと、毎日の勉強がぐっと楽になります。この章では、遠回りしないための土台づくりを、教育アドバイザーとしての経験を交えてお話しします。
入試英語の配点と出題の特徴を知る
公立高校の入試では、英語は他の教科と同じ比重で扱われることが一般的です。出題はおおまかに、リスニング、単語や文法の問題、長文読解、英作文の4つに分かれます。なかでも長文読解と英作文は、全体のなかで大きな割合を占める地域が少なくありません。
つまり、単語と文法だけを覚えても、それを使って読んだり書いたりする練習がなければ、点数は伸びにくいということです。
出題形式は都道府県ごとに違います。たとえば大阪府の公立高校入試には、難関校向けのC問題があり、長めの英文読解や英作文が出されます。東京都の都立高校入試では、中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)の結果も合否の判断材料に加わります。まずは志望校がある地域の過去問を一度ながめて、どの形式の配点が高いのかを確認しておきましょう。
難関とされる大学附属の高校では、公立とは違う独自問題が出されることもあります。長めの英文を速く正確に読む力が求められるので、志望校が決まっている人は、早い段階で過去問の雰囲気をつかんでおくと安心です。
英語が伸び悩む原因を整理する
点数が上がらないとき、原因は人によって違います。ただ、多くの場合は次の4つのどれかに当てはまります。
- 単語が足りず、英文の意味が取れない
- 文法のルールがあいまいで、並べ替えや書き換えで迷う
- 英文を読むのが遅く、最後まで終わらない
- 問題の解き方に慣れておらず、時間配分がうまくいかない
この4つは、勉強の方法がそれぞれ違います。たとえば、単語が足りない人が長文ばかり解いても、辞書を引く時間が増えるだけで力はつきにくいです。逆に、単語も文法も身についているのに点数が伸びない人は、時間を計って解く練習が足りないことが多いです。
最近のテストを1枚用意して、間違えた問題を4つに振り分けてみてください。いちばん多く当てはまった項目が、今の自分の最優先課題です。
目標点から逆算した計画の立て方
勉強の計画は、目標点から逆算すると立てやすくなります。たとえば100点満点のテストで80点を目指すなら、取りこぼしてよい問題は20点分です。難しい長文や自由英作文を全部取ろうとせず、確実に取れる問題を落とさないことを先に考えます。
計画づくりの流れは次のとおりです。
- 志望校の合格者平均点や、過去問の自分の得点を確認する
- 目標点と今の点数の差を出す
- 差を埋めるために伸ばす分野を、1つか2つに絞る
- 1日30分から45分の勉強時間を、毎日の生活に組み込む
ここで大切なのは、欲張らないことです。1日に使える時間が限られているので、やることが多すぎると続かなくなります。まずは1日の勉強メニューを3つ以内にして、1か月続けてみてください。続いたという実感が、次の月の自信になります。
計画は、一度立てたら終わりではありません。1か月ごとに「予定どおり進んだか」「しんどくなかったか」を振り返り、量や内容を少しずつ調整していくと、無理なく続けられます。
単語と文法を固める基礎の勉強法
英語の土台になるのは、単語と文法です。ここがぐらついていると、長文もリスニングも英作文も、すべて点数が伸びにくくなります。反対に、基礎が固まれば、他の分野の勉強も一気に進みやすくなります。この章では、無理なく続けられる単語の覚え方と、学年ごとの文法の優先順位、そして教科書を使った音読のやり方を紹介します。
単語は毎日少しずつ繰り返す
中学校で学ぶ単語は、1600語から1800語ほどです。一度にたくさん覚えようとせず、1日20語を目安に、何度も繰り返すのがおすすめです。人の記憶は、時間がたつと薄れていきます。そのため、覚えた直後ではなく、時間をあけて何度か見直すほうが、長く記憶に残ります。
おすすめの流れは、覚えた日の夜、翌朝、3日後、1週間後に同じ単語を確認する方法です。1回あたりの時間は5分ほどで十分です。教材は、旺文社の「中学英単語ターゲット1800」のように、入試に出やすい単語が並んでいるものが使いやすいです。
覚えるときは、目で見るだけでなく、声に出して、手で書くと定着しやすくなります。通学の電車や歩いている時間に、スマートフォンの単語アプリを使うのも手軽です。楽しく続けるには、覚えた単語が長文に出てきたときに「あ、知ってる」と感じる体験を増やすのが近道です。
文法は単元ごとに優先順位をつける
文法は、中1から中3まで内容が積み上がっていきます。そのため、どこかで分からなくなった単元があると、あとの単元でもつまずきやすくなります。下の表は、学年ごとに押さえたい文法をまとめたものです。教科書によって登場する順番は前後します。
| 学年 | 押さえたい文法 | ここでつまずきやすい点 |
|---|---|---|
| 中1 | be動詞と一般動詞、三人称単数現在形、過去形 | be動詞と一般動詞の使い分け |
| 中2 | 不定詞、動名詞、比較、助動詞、接続詞 | 不定詞の3つの使い方の区別 |
| 中3 | 受け身、現在完了、関係代名詞、間接疑問文 | 現在完了の3つの意味と、関係代名詞の使いどころ |
表のなかでも、入試で特によく問われるのは中2の不定詞と、中3の現在完了、関係代名詞です。中3の内容に入る前に、中1・中2の文法で穴がないかを確かめておくと、中3の内容がすっと頭に入ります。教科書の練習問題や、学校のワークをもう一度解き直すだけでも、十分な復習になります。
教科書本文を使った音読と暗唱
基礎固めの教材として、手元にある教科書は意外と優秀です。東京書籍のNEW HORIZON、三省堂のNEW CROWN、開隆堂のSUNSHINEなど、どの教科書も、入試で問われる文法や表現が無理のない形で組み込まれています。
おすすめは、本文を意味が分かる状態にしてから、音読を5回から10回くり返す方法です。音読は、英語の語順を体で覚える練習になります。何度も声に出した文は、英作文やリスニングでも自然に出てくるようになります。
慣れてきたら、本文を見ずに言える「暗唱」にも挑戦してみてください。全部を覚えなくても、各単元の重要な1文から2文だけで十分です。覚えた文は、英作文の「型」として使えます。たとえば、現在完了の文を1つ暗唱しておけば、似た内容の英作文でそのまま応用できます。
文法を勉強するときは、ルールを読んで分かった気になるだけで終わらせないことが大切です。ルールを確認したら、すぐに問題を3問から5問解いて、自分の言葉で説明できるかを試してみてください。説明できれば、本当に理解できているサインです。
長文読解とリスニングを伸ばす実践的な勉強法
単語と文法が身についてきたら、次は読む力と聞く力を鍛える段階です。長文読解とリスニングは配点が大きく、ここで安定して点が取れると、合格がぐっと近づきます。ただ、この2つは知識があるだけでは足りず、練習量が結果に直結します。ここでは、毎日の勉強に取り入れやすい練習方法を、具体的な教材とあわせて紹介します。
長文は読み方の手順を決める
長文が苦手な人の多くは、英文を最初から1語ずつ日本語に直しながら読んでいます。これだと時間がかかり、全体の内容もつかみにくくなります。そこで、読み方の手順を決めておくのがおすすめです。
- 先に設問に目を通して、何を聞かれているかを確認する
- 段落ごとに、どんな話題かを一言でつかむ
- but、so、however などのつなぎ言葉に印をつける
- 分からない単語があっても、前後から意味を想像して先に進む
この手順は、時間内に解き切るための型です。つなぎ言葉は、話の流れが変わる合図になります。たとえばbutの後ろには、筆者がいちばん伝えたいことが書かれていることが多いです。
練習は、1日1題、15分前後で十分です。教材は、旺文社の「全国高校入試問題正解」のように、実際の入試問題が集められた問題集が使いやすいです。解いたあとは、間違えた箇所の理由を必ず確認してください。
リスニングは毎日10分の積み重ね
リスニングは、短い時間でも毎日続けるほうが力がつきます。週末にまとめて1時間やるよりも、毎日10分の練習のほうが、耳が英語のスピードに慣れやすいからです。
日々の練習には、NHKラジオの「中学生の基礎英語 レベル1」「レベル2」のような、中学生向けの番組が使えます。放送をそのまま聞くだけでなく、アプリや配信で好きな時間に聞けるので、朝の支度中や寝る前に取り入れやすいです。
過去問を使うときは、次の手順で復習すると効果的です。
- 音声を聞きながら問題を解く
- 答え合わせのあと、スクリプト(音声の原稿)を読んで意味を確認する
- 聞き取れなかった部分を、もう一度聞いて確認する
- スクリプトを見ながら、音声に合わせて音読する
聞き取れなかった理由が、単語を知らなかったからなのか、速くて聞き取れなかったからなのかを確かめると、次の勉強の方向がはっきりします。
英作文とスピーキングの準備
英作文は、苦手意識を持つ人が多い分野です。ただ、入試で出される英作文は、難しい表現を求めているわけではありません。簡単な単語と文法で、はっきり伝えられるかが見られています。
自由英作文では、次のような型を覚えておくと書きやすくなります。
I think that … because …(私は…と思います。なぜなら…だからです)
この型に、自分の意見と理由を当てはめるだけで、まとまった英文が作れます。理由は2つ書けると、内容が充実します。
東京都の都立高校を目指す場合は、スピーキングテストのESAT-Jの準備も必要になります。写真や絵を見て答える問題や、自分の意見を話す問題が出されます。練習のコツは、声に出して答える練習を日常に取り入れることです。英作文で書いた文章を、そのまま声に出して言ってみるだけでも、立派なスピーキング練習になります。
書いた英作文は、できれば学校の先生や塾の先生に見てもらうと、自分では気づけない文法ミスを直せます。添削を受けた文は、そのまま次の英作文で使える自分だけの例文集になります。
塾や教材を上手に使って受験本番まで続けるコツ
勉強の方法が分かっていても、1人で続けるのは大変です。分からない問題が出たときに質問できる環境や、進み具合を確認してくれる人がいると、続けやすさがかなり変わります。この章では、塾や通信教育の選び方、過去問に取り組む時期、そして英検の活用方法を紹介します。自分に合った形を見つけて、英語の勉強を楽しく続けるヒントにしてください。
塾や通信教育の選び方
塾や教材は、自分の性格や生活のリズムに合うかどうかで選ぶのが基本です。代表的なタイプと特徴を、次の表にまとめました。
| サービス例 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 公文式 | プリントを使って、読み書きの基礎を自分のペースで進める | 毎日コツコツ取り組みたい人 |
| 明光義塾 | 個別指導で、分からない単元をその場で質問できる | 苦手な単元をピンポイントで直したい人 |
| 栄光ゼミナール | 集団授業と個別指導から選べ、受験対策のコースがある | 仲間と一緒に励まし合いたい人 |
| スタディサプリ | 動画授業を、好きな時間に何度でも見られる | 部活などで通塾の時間が取りにくい人 |
コースの内容や料金は、校舎や年度によって変わります。申し込む前に、体験授業や資料請求で、先生との相性や教え方が合うかを確かめてください。通うことが目的にならないよう、「英語のどの分野を伸ばしたいのか」を決めてから選ぶと、ミスマッチを防げます。
過去問の使い方と時期別の進め方
過去問は、受験直前にまとめて解くものと思われがちです。ただ、早めに1回解いておくと、今の実力と入試の難しさの差が分かり、勉強の方向が決めやすくなります。時期ごとの進め方の目安は、次のとおりです。
| 時期 | 取り組む内容 |
|---|---|
| 春から夏 | 中1・中2の総復習、単語の定着、教科書の音読 |
| 9月から11月 | 過去問を1回分解き、出題形式に慣れる。弱点分野を絞る |
| 12月から1月 | 過去問を3年分から5年分解く。時間を計って本番と同じ条件で解く |
| 入試直前 | 間違えた問題と単語帳の見直し。体調管理と生活リズムを整える |
英語は、直前に慌てて詰め込むより、早めに全体像をつかんで少しずつ仕上げるほうが安定します。「9月までに過去問を1回解く」のように、日付つきの小さな目標を決めておくと、行動に移しやすくなります。
過去問は、解いて終わりにせず、間違えた問題をノートにまとめるところまでが勉強です。同じ種類のミスが続く場合は、その単元に戻って基礎から確認してみてください。時期は目安なので、自分の進み具合に合わせて調整して問題ありません。
英検を活用して自信と選択肢を増やす
英検は、英語力の目安を知るのに役立ちます。3級は中学卒業程度、準2級は高校中級程度のレベルとされています。中学生のうちに3級を取っておくと、入試に向けた自信になります。
学校や自治体によっては、英検の級が入試の加点や優遇の対象になる場合があります。ただし、扱いは学校ごとに大きく違います。志望校の募集要項や学校説明会で、英検がどう扱われるかを早めに確認しておくと安心です。
英検の勉強は、入試の勉強とも重なります。長文読解やリスニング、英作文の練習が、そのまま入試対策にもなります。目標の級を決めて、受験日を逆算して勉強すると、毎日のやる気が続きやすくなります。小さな合格体験を重ねることが、英語を楽しく続ける力になります。