中学生の英語が難しく感じる理由と最初に整えたい土台
中学に入ると、英語は急に「教科」として本格的に始まります。小学校で英語に触れていても、文法や書く力が求められるため、戸惑う子は少なくありません。まずは、なぜ難しく感じるのかを知っておくと、勉強の進め方が決めやすくなります。ここでは、つまずきの正体と、勉強を始める前に整えておきたい土台を紹介します。
小学校の英語との違いを知る
小学校の外国語活動や英語の授業では、歌やゲームを通して「聞く・話す」を楽しむ場面が中心でした。一方、中学の英語は、聞く・話す・読む・書くの4技能をすべて使い、文法のルールを理解したうえで正しく書くところまで求められます。さらにテストでは、単語のつづりや語順の間違いがそのまま点数に響きます。この変化が「急に難しくなった」と感じる大きな理由です。
ただ、小学校で身につけた耳の慣れや、英語への抵抗の少なさは大きな財産です。小学校の経験を土台にして、書く力と文法の理解を少しずつ足していくと考えると、気持ちがぐっと楽になります。最初の数か月は、新しい勉強のやり方に慣れる期間と割り切って、完璧を目指さずに進めていきましょう。
英語が苦手になる最初のきっかけ
英語が苦手になる子には、共通したきっかけがあります。多いのは次の3つです。
- 単語のつづりが覚えきれず、教科書の文章が読めなくなる
- be動詞と一般動詞の使い分けが分からないまま先へ進む
- 授業のスピードについていけず、質問するタイミングを逃す
どれも、最初の小さな「分からない」を放っておいたことが原因です。英語は積み上げ型の教科なので、前の単元の抜けが次の単元の理解を邪魔するという特徴があります。逆にいえば、つまずいた場所まで戻って整理すれば、短い期間で立て直せます。テストの点が下がったときは、新しい問題集に手を出す前に、間違えた単元の基本ページを開き直すのが近道です。
勉強を始める前に決めたい目標
勉強法を選ぶ前に、小さな目標を決めておきましょう。目標が決まると、毎日の勉強の中身も自然に決まります。
| 目標の例 | 目安の期間 | 取り組みの中心 |
|---|---|---|
| 次の定期テストで平均点を超える | 約1か月 | 教科書の本文とワーク |
| 英検5級・4級・3級に合格する | 3〜6か月 | 単語と過去問 |
| 高校入試で英語を得点源にする | 中3の夏から冬 | 文法の総復習と長文 |
表の中から1つ選ぶだけで十分です。目標は「次のテストで平均点を超える」くらい身近なものから始めると、達成感を味わいやすく、勉強が続きます。決めた目標は紙に書いて、机の前に貼っておくのもおすすめです。
毎日15分で差がつく基本の勉強法
英語は、長時間まとめて勉強するより、短い時間を毎日続けるほうが伸びやすい教科です。1日15分でも、1か月続ければ合計7時間半になります。ここでは、単語・音読・文法という3本の柱を、無理なく回すための具体的な方法を紹介します。
単語は見る・声に出す・書くで覚える
単語は、ただ書き写すだけでは頭に残りにくいものです。おすすめは、見る・声に出す・書く・隠して思い出すの順に4回転させる方法です。たとえばappleなら、つづりを見ながら「アップル」と声に出し、ノートに2回書き、最後に日本語を隠して自分で書けるか確かめます。
1日に覚える数は5〜10語で十分です。そのかわり、前の日に覚えた単語を最初の2分で見直すと、記憶が定着しやすくなります。まずは教科書の巻末にある単語リストを優先し、余裕が出てきたら市販の単語帳に広げましょう。単語の数が増えると、英文が読めるようになる実感が湧き、勉強そのものが楽しくなっていきます。
教科書の本文を音読して語順に慣れる
教科書の本文は、中学英語のお手本が詰まった最高の教材です。毎日の勉強に、音読を取り入れてみましょう。手順は次のとおりです。
- 意味を確認しながら、本文を目で追う
- 付属の音声や、教科書のQRコードから聞ける音声を聞く
- 音声のあとに続けて、声に出して読む(シャドーイング)
- 最後に、本文を見ずに1文だけ言ってみる
音読は、語順を体で覚える練習になります。英語の語順が自然に身につくと、英作文や並べかえ問題で迷いにくくなるのが大きな利点です。声を出しにくい時間帯は、ささやき声でも効果があります。NHKラジオの「基礎英語1」のように、放送やアプリで聞ける講座を取り入れると、発音やリズムもつかみやすくなります。
文法は単元ごとに1つずつ片づける
文法は、1つの単元を「理解、例文、問題」の順に片づけると定着します。たとえばbe動詞の単元なら、解説を読み、例文を3つ声に出し、ワークの問題を5問解きます。ここまでをその日のうちに終わらせるのがコツです。
間違えた問題には印をつけておき、3日後にもう一度解き直すと、苦手を残さずに進められます。解説を読んでも分からないときは、学研の「中学英語をひとつひとつわかりやすく。」のように、イラスト付きで基本を説明している参考書を横に置くと助けになります。分からない単元を1つずつ消していく感覚で取り組むと、英語への苦手意識は少しずつ薄れていきます。
定期テストと高校入試に向けた学年別の進め方
中学3年間の英語は、学年ごとに押さえたい単元がはっきり分かれています。自分の学年で何を優先すればよいかが分かると、勉強の迷いがなくなります。ここでは、学年別の重点単元と、それぞれの時期に意識したい勉強の進め方を紹介します。
| 学年 | 主な単元 | 意識したいポイント |
|---|---|---|
| 中1 | be動詞、一般動詞、複数形、命令文、疑問詞 | 語順とつづり |
| 中2 | 過去形、未来表現、不定詞、比較、助動詞 | 文を長くする練習 |
| 中3 | 現在完了、受け身、関係代名詞、間接疑問文 | 長文読解と入試対策 |
単元の並び順は、東京書籍のNEW HORIZON、三省堂のNEW CROWN、開隆堂のSUNSHINEなど、学校が使う教科書によって少し異なります。表は目安として、実際の順番は自分の教科書の目次で確認してください。
中1はbe動詞と一般動詞をしっかり固める
中1の英語で最も大切なのは、be動詞と一般動詞の区別です。「I am a student.」と「I play tennis.」のように、動詞が文の中でどんな役割をしているかを意識できるようになると、その後の単元がぐっと楽になります。
この時期は、三単現のs、複数形、現在進行形など、細かなルールが次々に出てきます。1つの単元が終わるたびに、教科書の例文を3つずつノートに書き写し、声に出して読んでおきましょう。つづりのミスが目立つ場合は、単語を書く練習の時間を増やします。中1のうちに「英語は毎日少しずつやるもの」という習慣をつくっておくと、中2以降の勉強がずっと安定します。
中2は過去形と不定詞で文を長くする
中2になると、過去形、未来表現、不定詞、比較、助動詞など、文を長くするための道具が一気に増えます。特に差がつくのが不定詞です。「I want to play soccer.」のように、動詞のあとにtoと動詞を続ける形は、使い方が3種類に分かれるため、混乱しやすい単元です。
1つの用法ずつ例文を5つ作って声に出すと、使い分けが身につきます。比較の単元では、-erと-estの変化、moreとmostを使う長い単語の見分け方を整理しておくと、テストで迷いません。中2の秋ごろからは、中1の内容も交えた総合問題に取り組み、「習ったはずなのに忘れている」部分を洗い出すと、中3に向けた大きな準備になります。
中3は現在完了と受け身から入試対策へ
中3では、現在完了、受け身、関係代名詞、間接疑問文など、難度の高い単元が続きます。現在完了は、日本語にはない考え方なので、「経験」「完了」「継続」の3つの意味に分けて、例文ごとに整理しておくと理解しやすくなります。
夏休みは、中1と中2の総復習に使う絶好のチャンスです。入試の問題は、中1の基本文法を土台にして作られているため、基礎の抜けを埋めるだけで得点が上がります。秋からは、各都道府県の教育委員会が公開している公立高校入試の過去問を使い、リスニングと長文を時間を計って解きましょう。解いたあとは、間違えた文法の単元に戻って復習するという流れを繰り返すと、本番までに弱点を減らせます。
塾や教材を上手に使って続ける工夫
英語の勉強は、1人で頑張り続けるより、教材や塾の力を借りたほうが続けやすくなります。ただし、教材も塾も、種類が多くて選ぶのが大変です。ここでは、目的に合わせた選び方と、楽しく続けるための目標の立て方を紹介します。
学校のワークと定番の参考書を使い分ける
最初に使いたいのは、学校で配られるワークです。教科書に合わせて作られているので、定期テストの範囲とぴったり重なります。ワークを1冊しっかり終えたうえで、足りないところを市販の教材で補う流れが基本です。
- 文理の「中学教科書ワーク」:教科書ごとに版が分かれていて、テスト対策に向いている
- 新興出版社啓林館の「教科書ぴったりトレーニング」:基本問題から練習問題まで段階的に進められる
- 学研の「中学英語をひとつひとつわかりやすく。」:文法を基礎から確認したいときに使いやすい
どの教材を選ぶ場合も、1冊を最後までやり切ることが最も大切です。複数の問題集に手を出すと、どれも中途半端に終わってしまいがちです。まずは学校のワークを2周し、間違えた問題だけをもう一度解くところから始めてみてください。
塾や通信教育は目的に合わせて選ぶ
独学でつまずいたときは、塾や通信教育が助けになります。大切なのは、自分の目的と性格に合ったタイプを選ぶことです。代表的な例を表にまとめました。
| タイプ | サービスの例 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 集団指導の塾 | 栄光ゼミナール | 周りと競い合うと頑張れる人 |
| 個別指導の塾 | 個別教室のトライ | 自分のペースで質問したい人 |
| 教室で基礎を固める | 公文式の英語 | 毎日の計算的な反復が得意な人 |
| 映像授業 | スタディサプリ | 好きな時間に授業を見たい人 |
| 通信教育 | 進研ゼミ中学講座、Z会 | 家で教材を使ってコツコツ進めたい人 |
サービスの内容や料金は、年度や地域によって変わります。体験授業や資料請求で実際の雰囲気を確かめてから決めると、入会後のミスマッチを減らせます。塾に通う場合も、学校のワークと並行して使い、授業で習ったことをその日のうちに復習する習慣をつけると、効果がぐっと高まります。
英検3級を目標にして楽しく続ける
勉強を長く続けるコツは、テスト以外の目標を持つことです。おすすめは、英検への挑戦です。英検3級は中学卒業程度とされているため、中学3年間の学習の仕上げとして、ちょうどよい目標になります。5級、4級と段階的に受けていけば、合格するたびに自信が積み重なっていきます。
大学によっては、英検などの資格を入試で評価する制度を設けているところもあります。中学生のうちに英検を取っておくと、高校や大学の入試でも活かせる可能性があるのは心強い点です。英語に興味が深まってきたら、東京外国語大学や国際基督教大学のように、英語や国際分野の学びに力を入れる大学のウェブサイトを眺めてみるのも刺激になります。将来の姿を少し思い描くだけで、毎日の15分に意味が生まれます。