TEAP利用入試とは?基本をわかりやすく解説
「TEAP利用入試」という言葉を耳にしたことはあるけれど、具体的にどんな制度かよくわからない、という人は少なくありません。この章では、TEAPそのものの説明から、一般入試との違いまでをやさしく解説します。まずはここで全体像をつかんでみてください。
TEAPって何?テストの概要
TEAP(Test of English for Academic Purposes)は、公益財団法人日本英語検定協会と上智大学が共同で開発した英語4技能検定です。「大学での学習・研究に必要な英語力」を測ることを目的としており、読む・聞く・書く・話すの4技能すべてを評価します。
スコアは各技能100点満点(合計400点満点)で、大学入試に特化した内容が出題されるのが特徴です。英検やTOEICとは異なり、アカデミックな場面を想定した問題が中心なので、大学入試との相性が非常に高いと言われています。
なお、4技能まとめてではなく、Reading・Listeningのみの「TEAP(2技能)」も存在します。大学によって求められるスコアの種類が異なるため、志望校の要件を事前に確認することが大切です。
- Reading(読む):学術的な英文の読解問題
- Listening(聞く):講義・会話などの音声問題
- Writing(書く):英語でのエッセイ・意見論述
- Speaking(話す):面接官との対話形式
上記4技能はそれぞれ独立した評価軸です。得意な技能でしっかりスコアを稼ぎつつ、苦手な技能は最低ラインをクリアする、という戦略的な学習が可能です。
一般入試との違い
従来の一般入試では、英語の筆記試験(共通テストや各大学独自の問題)を受けることが基本です。それに対しTEAP利用入試では、事前に取得したTEAPのスコアを出願時に提出し、そのスコアが入試の英語点数として扱われます。
これにより、当日の英語試験を受けなくてよかったり、英語の配点が加点・換算されたりと、英語が得意な受験生には大きなアドバンテージになります。一方で、TEAP対策に時間がかかるため、早めの準備が欠かせません。
また、共通テストを利用せず独自のTEAPスコアだけで出願できる方式を設ける大学もあります。これは英語力に自信がある学生にとって、勉強の集中先を絞れるという大きなメリットです。
TEAP利用入試の仕組み
TEAP利用入試の流れはざっくり以下の3ステップです。
| ステップ | 内容 | 時期の目安 |
|---|---|---|
| ① TEAPを受験 | 年に数回実施される試験を受けてスコアを取得 | 高3の4月〜9月 |
| ② スコア提出 | 出願時に公式スコアレポートを大学へ提出 | 高3の9月〜11月 |
| ③ 本試験(他科目) | 英語以外の科目は通常通り受験するケースが多い | 高3の11月〜2月 |
上の表はあくまで目安です。大学や入試方式によってスケジュールは異なります。必ず志望校の最新の募集要項を確認するようにしてください。
TEAP利用入試を採用している主な大学
TEAP利用入試はどの大学でも利用できるわけではなく、制度を採用している大学・学部に限られます。ここでは代表的な大学を紹介しつつ、各大学の特徴的な入試方式についても見ていきます。
上智大学のTEAP利用入試
上智大学はTEAPの共同開発大学として知られており、TEAP利用入試の先駆けとも言える存在です。上智大学のTEAP利用入試(学科別入学試験)は、TEAPのスコアが出願資格の一部となっているという点で他の大学とは少し異なります。
具体的には、TEAP4技能合計スコア226点以上、または各技能ごとの基準点(リーディング・リスニング各50点、ライティング・スピーキング各38点)を満たすことが出願条件となっています(2024年度参考)。英語のスコアは当日試験ではなく事前提出であるため、早めにTEAPのスコアを固めておくことが重要です。
文学部・総合グローバル学部・外国語学部など多くの学部で採用されており、英語力に自信がある受験生にとって非常に狙い目の入試方式と言えます。
立教大学・早稲田大学などのTEAP利用入試
立教大学では、英語の試験をすべて英検・TEAP・TOEFLなどの外部検定で代替する方式を採用しており、当日の英語試験が一切ないのが特徴です。外部検定スコアさえ事前に用意できれば、当日は他科目の対策に集中できます。
早稲田大学では学部によって対応が異なりますが、国際教養学部(SILS)や文化構想学部・文学部の一部方式でTEAPスコアが使えます。特に早稲田の英語試験は難易度が高いため、TEAP利用によって安定したスコアを事前に確保できるメリットは大きいです。
その他にも、青山学院大学・成蹊大学・日本女子大学なども採用実績があります。制度は毎年変わることがあるため、必ず各大学の公式サイトで最新情報を確認してください。
中堅大学でも活用が広がっている
難関大学だけでなく、中堅・中堅上位の大学でもTEAP利用入試が広がっています。例えば、成城大学・武蔵大学・神田外語大学などでも外部英語検定を活用した入試方式が存在しています。
これらの大学では合格に必要なTEAPスコアの目安が難関大学よりも低めに設定されているため、英語をある程度仕上げたうえで確実に合格を狙いたい人にも活用しやすい選択肢です。また、社会人が再入学を目指す際にも、TEAP利用入試は有力な手段になっています。
TEAPのスコアと合否の仕組み
TEAP利用入試を検討するうえで気になるのが、スコアと合否の関係です。どのくらいのスコアを取れば安心なのか、いつまでに受ければよいのか、など気になるポイントをまとめました。
スコアの見方と合格ラインの目安
TEAPのスコアはリーディング・リスニング・ライティング・スピーキングそれぞれ100点満点で、合計最大400点です。大学によって求められるスコアは異なりますが、参考として主要大学の目安を下記にまとめました。
| 大学・学部 | おおよその目安スコア(4技能合計) | 備考 |
|---|---|---|
| 上智大学(文学部など) | 226点以上(出願資格) | 出願条件として設定 |
| 立教大学 | 英検2級相当以上 | 換算スコアを活用 |
| 早稲田大学(一部学部) | 280〜320点以上が目安 | 学部・方式により異なる |
| 中堅大学(成城・武蔵など) | 200点前後が目安 | 大学公式情報を必ず確認 |
上記はあくまで参考値であり、実際の合格ラインは毎年変動します。大学の公式募集要項や過去の入試情報を必ずチェックするようにしてください。
スコアの有効期間と申し込み方法
TEAPのスコアは取得日から2年間有効とされています。そのため、高校2年生のうちから受験してスコアを取っておくことも可能です。ただし、大学によって認める期間が異なる場合もあるため、志望校の規定を事前に確認しておきましょう。
申し込みは日本英語検定協会の公式サイトから行います。試験は年に複数回実施されており、2024年度は4月・6月・7月・9月などに開催されました。試験当日は会場に直接出向いて受験する形式です(一部オンライン対応あり)。
何回受験できる?
TEAPは1年度に最大3回まで受験が可能です(2技能の場合は回数が異なる場合あり)。複数回受験して最も良いスコアを大学に提出できるため、「1回目でうまくいかなくてもやり直せる」という安心感があります。
ただし、受験のたびに費用がかかるため(4技能で15,000円前後)、無計画に何度も受けるのは経済的にも負担になります。目標スコアを定めてから計画的に受験することが大切です。
TEAP対策の勉強法【4技能別】
TEAPの試験は英検やTOEICとは出題傾向が異なります。「大学での学習場面」を想定した問題が多いため、それに特化した対策が必要です。ここでは4技能それぞれの効果的な学習法を紹介します。
リーディング対策
TEAPのリーディングはアカデミックな長文が中心で、環境問題・歴史・科学などのテーマが頻出です。語彙レベルも比較的高く、文脈から意味を推測する力が問われます。
まずは英検2級〜準1級レベルの単語帳を仕上げることが基本です。「英検準1級でる順パス単」(旺文社)は語彙強化に役立ちます。長文読解は、毎日1〜2本のペースで大学入試レベルの英文を読む習慣をつけましょう。「関正生の英語長読解プラチナルール」(かんき出版)などを活用すると、読み方のコツが身につきます。
また、速読力も重要です。時間内にすべての設問を解ききるために、1分あたり100〜150語のペースで読む練習を続けてみてください。
リスニング対策
TEAPのリスニングでは、講義や授業の音声を聞いてメモを取りながら解答する問題が出題されます。単純な日常会話ではなく、やや専門的な内容を扱うため、アカデミック英語特有のリスニングトレーニングが必要です。
おすすめはTED Talks(ted.com)を活用したシャドーイングです。5〜10分程度の短い動画で、英語字幕をオンにしながら聞き取り練習をすると、自然なアカデミック英語に慣れることができます。
TEAP公式問題集を使って、実際の問題形式に慣れることも重要です。特にメモ取り問題(note-taking)は独特の形式なので、繰り返し練習しておきましょう。
ライティング対策
TEAPのライティングはエッセイ形式が中心で、「意見を述べる問題」と「グラフや図表を説明する問題」が代表的です。英語でのロジカルな文章構成力が問われます。
基本構成は「Introduction → Body(2〜3段落) → Conclusion」の型を守ることが大切です。「意見型」では自分の主張を明確にし、具体的な根拠を2つ以上示す練習を繰り返しましょう。「英語ライティング講義(大学入試対応版)」のような参考書でテンプレートを身につけると書きやすくなります。
また、書いた英文をネイティブや英語教師にフィードバックしてもらう機会を作れると、上達スピードが大きく変わります。最近は添削サービスやオンライン英会話(スピークバディ・DMM英会話など)でも対応しているケースがあります。
スピーキング対策
TEAPのスピーキングは、面接官との対面形式で行われます(一部試験日によってはPC録音方式)。テーマについて意見を述べたり、質問に答えたりする問題が出題されます。
日頃の練習として、オンライン英会話(ネイティブキャンプ・Cambly)で毎日5〜10分話す習慣をつけることが効果的です。特に「意見を述べる練習」は積み重ねが大切で、身近なテーマ(環境・テクノロジー・教育など)について自分の考えを英語でまとめる練習を続けましょう。
「まず結論、次に理由、最後に具体例」というPREP法で話す構成を意識すると、面接官に伝わりやすいスピーキングができるようになります。
TEAP利用入試におすすめの参考書・塾
TEAP対策は独学でも可能ですが、適切な参考書や学習環境を選ぶことで効率が大きく変わります。ここでは実際に使えるおすすめの教材と、TEAP対策に強い塾・予備校を紹介します。
おすすめ参考書・問題集
TEAP対策の基本は公式教材の活用から始まりましょう。日本英語検定協会が発行している公式問題集は、出題形式・難易度ともに本番に最も近い内容です。
- 「はじめてのTEAP」(旺文社):入門〜中級者向け。4技能の基礎固めに最適
- 「TEAP技能別問題集」(旺文社):技能ごとに集中的に対策したい人に
- 「英検準1級でる順パス単」(旺文社):語彙強化に。TEAPの出題レベルと近い
- 「英語長文ハイパートレーニング」(桐原書店):読解力・速読力の向上に
参考書は「何冊もやる」より「1冊を繰り返す」ことが重要です。上記の中から自分のレベルに合った1冊を選び、まず1周仕上げることを目標にしてみてください。
TEAP対策ができる塾・予備校
TEAP利用入試を本格的に目指すなら、専門の指導を受けることも選択肢のひとつです。以下のような塾・予備校ではTEAPや外部検定対策のコースが充実しています。
- 代々木ゼミナール:大学入試全般に強く、英語4技能対策コースあり
- 河合塾:英語の指導力が高く、TEAP対策を含む外部検定講座を開設
- 英語塾「ベルリッツ」:4技能対策を専門とした英語スクール。スピーキング・ライティングに特化した指導も可能
- SEP英語塾(上智大学周辺):上智大学対策に特化した地域密着型塾
塾は費用がかかるため、まず無料体験授業を受けてみて、指導方針や雰囲気が自分に合うかどうか確認することをおすすめします。
オンライン学習という選択肢
通塾が難しい場合は、オンライン学習サービスを活用する方法も非常に有効です。近年は英語4技能対策に特化したオンラインサービスも充実しています。
スピーキング・ライティング対策には「スタディサプリENGLISH」「DMM英会話」などが使いやすく、リーディング・リスニングは「TEAP公式アプリ」や「YouTubeのTED Talks」を活用した自主学習も効果的です。オンライン学習は時間・場所を選ばないため、部活動や学校行事と両立しやすいのが大きな魅力です。
TEAP利用入試のメリット・注意点
TEAP利用入試はすべての受験生に向いているわけではありません。自分の強みや学習状況と照らし合わせながら、この入試方式が自分にとって有利かどうかを冷静に判断することが大切です。
英語が得意な人には大きなアドバンテージ
TEAP利用入試の最大のメリットは、英語力を事前に確定させた状態で入試に臨めることです。特に英語が得意な受験生にとっては、当日の英語試験のプレッシャーから解放されるだけでなく、他科目の勉強に集中しやすくなるという効果があります。
例えば、英語の偏差値が70以上ある受験生が早稲田大学のTEAP利用入試方式を選んだ場合、英語はTEAPスコアで確保し、残りの国語・社会を徹底的に対策するという戦略が立てられます。このように科目ごとの戦略を立てやすいのは大きな強みです。
対策に時間がかかる場合も
一方で、英語が苦手な人がTEAPを一から対策しようとすると、目標スコアに達するまでに相当な時間が必要になることがあります。特にスピーキングやライティングは短期間では伸びにくい技能のため、遅くとも高校2年生の時点から準備を始めるのが理想的です。
また、TEAP利用入試に対応していない大学・学部も多いため、志望校をTEAP対応の大学のみに絞ることはリスクがあるという点にも注意が必要です。共通テストや一般入試と並行して対策を進めるのが無難です。
出願条件を事前に確認しよう
TEAP利用入試は大学・学部・年度によって条件が細かく異なります。「何点以上で出願できる」「どの技能のスコアが必要か」「スコアの有効期限はいつまでか」といった情報は必ず各大学の公式サイトや募集要項で確認してください。
さらに、出願に必要な公式スコアレポートは試験日から約4〜6週間後に届くため、出願締め切り日から逆算して受験日を決めることが重要です。締め切りギリギリに受験しても間に合わないケースがあるため、スケジュール管理には余裕を持たせましょう。
合格に向けたスケジュールの組み方
TEAP利用入試で志望校合格を実現するには、計画的なスケジュール管理が不可欠です。高校1・2年生からの準備と、高校3年生の年間スケジュールについて具体的に解説します。
高校1・2年生からできること
TEAP利用入試を視野に入れているなら、高校1〜2年生のうちから英語の基礎固めを進めておくことが最大の近道です。具体的には、英検2級の取得を目指すことが第一ステップになります。TEAP4技能で226点以上を安定して取るためには、英検2級相当の英語力が必要と言われているからです。
また、2年生の後半からはTEAP公式問題集を使って出題形式に慣れておくと、3年生になってからの対策がスムーズに進みます。英単語・英文法・長読解の3本柱を高2までに固めておくことが、その後の伸びを大きく左右します。
高校3年生の年間スケジュール例
高校3年生の1年間は非常に忙しくなりますが、TEAP利用入試の場合は特に前半の集中が重要です。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 4月〜5月 | TEAPの受験申し込み・語彙と文法の総復習 |
| 6月〜7月 | 第1回TEAP受験・結果確認と弱点把握 |
| 8月 | 夏期集中対策(スピーキング・ライティング強化) |
| 9月 | 第2回TEAP受験・本番スコア確定を目指す |
| 10月〜11月 | 英語以外の科目の仕上げ・志望校の出願準備 |
| 12月〜2月 | 共通テスト・一般入試の受験 |
このスケジュールはあくまで一例ですが、9月のTEAP受験でスコアを確定させることを目標に逆算して動くと、焦らずに対策を進めることができます。
社会人がTEAP利用入試を受ける場合
TEAP利用入試は高校生だけでなく、社会人が大学再入学や学び直しを目指す際にも活用できます。特に英語力をある程度持っている社会人にとっては、一般入試よりも効率よく出願できる可能性があります。
仕事と両立しながら対策するには、スタディサプリや英会話アプリを使ったすき間学習が現実的です。まず現在の自分のTEAPスコアを把握するために、一度過去問や模試を受けてみることから始めてみてください。学び直しを検討している社会人にとって、TEAP利用入試は新しい可能性を開く一つの扉になるかもしれません。
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