「英語の文法がよくわからない」「授業についていけなくなってきた」——そう感じている中学生や、お子さんの英語学習が心配な保護者の方は多いのではないでしょうか。
英文法は、英語を読む・書く・話す・聞くすべての土台になるものです。ここをしっかり固めておくと、高校英語や大学受験はもちろん、社会に出てからの英語力にも大きく差が出てきます。
この記事では、中学英語で学ぶ文法の全体像から、つまずきやすいポイント、効果的な学習法まで、教育アドバイザーとしての経験をもとに丁寧に解説します。英語を楽しく、無理なく身につけるためのヒントを、ぜひ最後まで読んでみてください。
中学英文法の全体像をつかもう
中学3年間で学ぶ英文法には、一定の「順番」があります。この流れを最初に知っておくだけで、「今どこを学んでいるのか」「次に何が来るのか」が見えてきて、学習への見通しが立てやすくなります。
中学1年で学ぶ主な文法
中学1年生ではまず、英語の文の基本的なルールを学びます。特に重要なのは主語+動詞の語順という考え方です。日本語と英語では語順が異なるため、この違いに慣れることが最初のステップになります。
主な学習内容は以下の通りです。
- be動詞(am / is / are)の使い分け
- 一般動詞の肯定文・否定文・疑問文
- 名詞の複数形や代名詞(I / you / he / she)
- canを使った能力・許可の表現
- 現在進行形(be動詞+動詞のing形)
これらはすべて「英語の文を作る基本」です。最初のうちはシンプルな文から練習し、声に出しながら覚えていくことで、自然と文の感覚が身についていきます。be動詞と一般動詞の区別は多くの生徒がつまずく場所でもあるので、早い段階でしっかり整理しておきましょう。
中学2年で学ぶ主な文法
中学2年になると、文の複雑さがグッと増してきます。ここから英語が「難しくなった」と感じる生徒が増えるのもこの時期です。
- 過去形(規則動詞・不規則動詞)
- 未来形(will / be going to)
- 比較表現(比較級・最上級)
- 不定詞(to+動詞の原形)
- 動名詞(動詞のing形が名詞の役割)
- 接続詞(because / when / if など)
特に不定詞と動名詞は、同じ「動詞のing形や原形」を使うのに意味が変わるため、混乱しやすいポイントです。「I like to swim.」と「I like swimming.」の違いなど、実際の例文で練習しながら整理するのがおすすめです。
中学3年で学ぶ主な文法
中学3年では、いよいよ高校英語の手前まで学習が進みます。受動態・現在完了・関係代名詞など、文の構造がより複雑になり、長文読解でも必要になる重要文法が続きます。
- 現在完了形(have/has+過去分詞)
- 受動態(be動詞+過去分詞)
- 関係代名詞(who / which / that)
- 間接疑問文
- 仮定法の基礎(If I were ~)
これらは高校でもくり返し登場する文法です。中学のうちにしっかりと基礎を固めておくことが、のちの学習をぐっとラクにします。
中学生がつまずきやすい英文法5選
長年の学習サポートの経験から、多くの中学生が共通してつまずく文法ポイントがいくつかあります。「なんとなく苦手」で済ませず、原因を知って対策を立てることが大切です。
be動詞と一般動詞の使い分け
英語を学び始めたばかりの中学1年生がまず戸惑うのが、be動詞と一般動詞の違いです。
be動詞(am / is / are)は「〜です」「〜にいます」のように状態を表すのに使います。一方の一般動詞(play / eat / go など)は、動作を表す動詞です。
否定文や疑問文を作るときのルールが両者でまったく異なるため、「どっちを使えばいいの?」と混乱してしまいがちです。
- be動詞の否定:I am not a student.
- 一般動詞の否定:I don’t play tennis.
このように、否定文の作り方が全く違います。まず「この文はbe動詞の文か、一般動詞の文か」を見分ける習慣をつけることが、英文法の第一歩です。毎日3〜5文ずつ音読して、体に感覚を染み込ませていきましょう。
三人称単数現在形(三単現のs)
主語が「He(彼)」「She(彼女)」「It(それ)」など三人称の単数のとき、一般動詞の現在形には「s」または「es」をつけるルールがあります。これが三単現のsです。
頭では理解していても、長文を書いたり話したりするときにつけ忘れてしまう生徒が非常に多いです。特に否定文・疑問文では「does」を使うことで動詞に「s」は不要になりますが、ここも混乱しやすいポイントです。
練習方法としては、主語を変えながら同じ文を書き換えるトレーニングが効果的です。たとえば「I play soccer.」→「She plays soccer.」→「Does she play soccer?」という変換練習をくり返すことで、感覚が身についていきます。
不規則動詞の過去形
動詞には「ed」をつけると過去形になる規則動詞(play → played)と、形が変わってしまう不規則動詞があります。
| 現在形 | 過去形 | 意味 |
|---|---|---|
| go | went | 行く |
| see | saw | 見る |
| eat | ate | 食べる |
| have | had | 持つ・食べる |
| make | made | 作る |
| come | came | 来る |
| write | wrote | 書く |
| take | took | 取る |
不規則動詞は残念ながら規則がないため、ひとつひとつ覚えるしかありません。ただし、よく使われる不規則動詞は100個程度に限られています。フラッシュカードや単語帳アプリ(「Anki」「Quizlet」など)を活用して、毎日少しずつ覚えていくのが現実的な方法です。
現在完了形の「感覚」をつかむ
中学3年生の大きな関門が現在完了形(have/has+過去分詞)です。「経験・継続・完了」の3つの用法があり、それぞれニュアンスが異なります。
- 経験:I have visited Kyoto twice.(京都を2回訪れたことがある)
- 継続:She has lived here for ten years.(10年間ここに住んでいる)
- 完了:He has just finished his homework.(ちょうど宿題を終えた)
この文法が難しいのは、「なぜ過去形ではなく現在完了を使うのか」という感覚がつかみにくいからです。「過去のことが今もつながっているイメージ」と覚えるとわかりやすくなります。経験・継続・完了のそれぞれにセットで覚えておくべきキーワード(ever / never / for / since / just / already / yet)も一緒に整理しておきましょう。
関係代名詞の使い方
「名詞を後ろから説明する」という関係代名詞(who / which / that)の感覚は、日本語の文の作り方と大きく異なります。
たとえば「私は昨日会った男の子を知っています」という文は、英語では「I know the boy who I met yesterday.」と、男の子を後ろから説明する形になります。日本語感覚で訳そうとすると混乱するため、まず関係代名詞の「仕組み」を図で理解してから例文に取り組むと効果的です。
中学英文法の効果的な学習法
文法は「説明を読んで終わり」では身につきません。正しいやり方で練習をくり返すことが大切です。ここでは実践で効果の高かった学習法をご紹介します。
参考書の選び方
書店に行くと英文法の参考書は種類がたくさんあって、どれを選べばいいか迷ってしまいます。中学生には以下の基準で選ぶことをおすすめします。
- 図・イラストが多いもの(視覚的に理解しやすい)
- 例文が豊富なもの(ルールだけでなく使い方がわかる)
- 問題演習がついているもの(読んだらすぐ練習できる)
具体的には、「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。」(学研)や「くもんの中学英文法」などが初心者〜中級者に評判です。解説がやさしい言葉でまとまっており、自学自習に向いています。英語が苦手な方でも無理なく読み進められる構成になっているので、まず手に取ってみてください。
音読を学習に取り入れる
英文法の勉強というと、どうしても問題集を解くイメージが強いですが、音読は文法習得においても非常に効果的です。
声に出して読むことで、文の「リズム」が体に入ります。「この文はこういう語順になる」という感覚が自然と身につき、長文でも迷わず文を作れるようになっていきます。
おすすめの手順は次の通りです。
- テキストの例文を見ながら3回音読する
- 文法のポイントを確認しながら訳す
- テキストを見ずに音読する(シャドーイング風に)
1回あたり5〜10分でOKです。毎日続けることで、1ヶ月後には大きな変化を感じられます。「NHK語学テキスト」シリーズの中学生向けコンテンツも、リズムよく音読できる素材として役立ちます。
スマートフォンアプリを活用する
スキマ時間を活かすなら、スマートフォンの学習アプリが強い味方になります。
| アプリ名 | 特徴 | 対象 |
|---|---|---|
| Duolingo | ゲーム感覚で続けやすい。無料で使える | 初級〜中級 |
| Quizlet | 単語・文法カードを自分で作成・共有できる | 全レベル |
| スタディサプリ | 授業形式の動画でわかりやすく解説 | 中学生全般 |
| 英語の友 | 教科書に連動した音声+問題演習 | 教科書併用 |
特にスタディサプリは、人気講師の授業動画で文法をわかりやすく学べるため、「学校の授業だけでは理解が追いつかない」という生徒に好評です。月額料金は1,815円(税込)〜と比較的リーズナブルで、塾の補助教材としても活用されています。
定期テスト・高校受験を意識した演習
定期テストや高校受験を見据えるなら、問題演習は欠かせません。ただし、ただ問題を解くだけでは実力はつきにくいです。
ポイントは「間違えた問題の分析」にあります。なぜ間違えたのか?文法の理解が甘かったのか、単語を知らなかったのか、文構造を読み違えたのか——原因を特定して、そこに戻って復習することが最も効率的な学習法です。
高校受験対策としては、「全国高校入試問題正解 英語」(旺文社)などの過去問集が使いやすいです。志望校の出題傾向を把握した上で、弱点単元に絞って重点的に練習する戦略が効果的です。
塾・オンライン講座の活用法
独学だけで英文法を仕上げるのが難しいと感じたら、塾やオンライン講座を活用する選択肢もあります。どのような場を選べばいいのか、ポイントを整理します。
集団塾と個別指導塾の違い
英語学習で塾を検討するとき、まず「集団塾か個別指導か」という選択が出てきます。
- 集団塾:授業ペースが決まっており、予習・復習をきちんとこなせる生徒に向く。コストが比較的安い。
- 個別指導塾:自分の弱点に合わせて指導してもらえる。つまずいた単元に戻って教えてもらいやすい。
英文法でつまずいている場合は、個別指導の方が効果を感じやすいケースが多いです。講師に直接質問できる環境が、理解の深まりにつながります。代表的な個別指導塾としては、東京個別指導学院・明光義塾・ITTO個別指導学院などがあります。
オンライン英語教室の選び方
近年急速に普及したオンライン英語教室は、自宅から受講できる手軽さが魅力です。特にネイティブ講師との会話レッスンは、文法を実際の英会話の中で使う感覚を養うのに役立ちます。
中学生向けのオンライン英語サービスとして人気なのは、QQ English・EF English Live・ネイティブキャンプなどです。いずれも無料体験があるので、お子さんとの相性を確認してから選ぶとよいでしょう。
学校の補習授業や学習支援センターを使う
費用をかけずに学びたい場合は、学校の補習授業や放課後の質問対応を積極的に活用しましょう。多くの中学校では、定期テスト前に補講を行っていたり、先生が放課後に質問を受け付けてくれたりします。
また、各都道府県の教育センターや学習支援センターでは、無料または低価格で学習相談を受けられる場合があります。地域の図書館で開かれている学習支援ボランティアも、うまく活用したい選択肢のひとつです。
英文法を楽しく続けるための工夫
どんな学習も、楽しくないと長続きしません。英文法は「暗記が多くて辛い」というイメージを持つ人も多いですが、工夫次第で楽しく学ぶことができます。
好きなコンテンツで英語に触れる
好きな音楽・映画・アニメ・ゲームを使って英語に触れるのは、英語学習の大きなモチベーションになります。
たとえば、好きなアーティストの英語の歌詞を調べて意味を調べてみる、海外のYouTubeチャンネルを字幕付きで見てみる、ゲームを英語設定でプレイしてみるなど、「楽しみ」と「学習」をつなぐ方法はたくさんあります。文法の知識があると、「あ、これが比較級の使い方か」と気づく場面が増えていきます。その気づきの積み重ねが、本当の英語力につながっていきます。
学習記録をつけてモチベーションを保つ
英語の勉強を続けるために効果的なのが、学習記録をつけることです。手帳やノートでも、スマートフォンのメモアプリでも構いません。「今日は過去形の練習をした」「不規則動詞を5個覚えた」というように小さな記録をつけていくと、達成感が積み重なって継続しやすくなります。
また、1週間ごとに「今週できるようになったこと」を書き出してみると、自分の成長を実感しやすくなります。学習の継続に悩んでいる場合は、友人や家族に学習目標を宣言してみるのも効果的な方法です。
目標を具体的に設定する
「英語が得意になりたい」という漠然とした目標よりも、具体的な目標を持つことが継続のカギです。
- 次の定期テストで英語80点以上を取る
- 3ヶ月で不規則動詞を全部覚える
- 英検3級に合格する
このように期限と数字を入れた目標を立てると、「今週は何をすればいいか」が明確になります。英検(英語検定)は、中学生にとって実力を確認するのにちょうどよい目標設定になります。3級は中学卒業相当レベルで、英文法の総仕上げにもなります。英検は年3回実施されており、公益財団法人日本英語検定協会の公式サイトから申し込みができます。
高校英語へつなげるための中学英文法の仕上げ方
中学英語と高校英語はつながっています。中学で学んだ文法が土台となって、高校では応用や発展的な表現を学びます。受験直前だけでなく、日頃から「仕上げる意識」を持って取り組むことが大切です。
中学文法の総復習ポイント
中学3年の秋〜冬にかけては、それまでの文法をまとめて総復習する時期です。ここで大切なのは、苦手単元を放置しないことです。
効率的な総復習の進め方としては、まず自分の苦手な文法を洗い出し(過去のテスト・問題集の間違いを見直す)、そこから優先順位をつけて1単元ずつつぶしていく方法がおすすめです。「高校入試 でる順ターゲット 中学英語文法30」(旺文社)のような入試頻出文法をまとめた問題集を使うと、受験対策として効率よく復習できます。
英検・高校受験で問われる英文法
高校入試の英語では、長文読解・英作文・リスニングの3つが主な出題形式です。英文法の知識は、英作文で直接問われるだけでなく、長文を正確に読むためにも欠かせません。
よく出題される文法単元としては、不定詞・動名詞・関係代名詞・現在完了・受動態などが挙げられます。これらは全国の高校入試で繰り返し登場する単元ですので、重点的に対策しておくと効果的です。
中学英文法を高校で生かすために
高校英語では仮定法・分詞構文・複雑な関係代名詞など、中学文法を前提とした応用表現がたくさん出てきます。中学で「なんとなく」理解していた文法が、高校でつまずく原因になることも少なくありません。
高校進学前に、中学英文法を一度しっかりと整理しておくことで、高校での学習スタートをスムーズに切ることができます。春休みなどを活用して、中学3年間の文法を総ざらいする習慣をぜひつけてみてください。
まとめ:中学英文法は、焦らず・着実に・楽しく
中学英文法は、英語力のすべての土台になるものです。be動詞から始まり、関係代名詞まで、3年間で学ぶ内容は決して少なくありませんが、ひとつひとつ積み上げていけば必ず力はつきます。
大切なのは、つまずいた場所に戻ること、音読や書き取りで体に染み込ませること、そして楽しみながら続けることの3つです。
参考書・アプリ・塾・オンラインレッスンなど、今は学べる環境がたくさんあります。自分に合ったスタイルを見つけて、英語学習を続けていきましょう。英文法をしっかり身につけた先には、英語で世界が広がる可能性が待っています。
関連記事も併せてご覧ください。