TOEICとTOEFLって何が違うの?まず基本を知ろう
英語の資格試験を調べると、必ず出てくる2つの名前が「TOEIC」と「TOEFL」です。どちらも英語力を測る世界的に認められた試験ですが、目的・対象・形式がまったく異なります。まず2つの試験の基本的な性格を押さえておくと、自分がどちらを受けるべきかがはっきり見えてきます。
TOEICとは何か
TOEICは Test of English for International Communication の略で、ビジネスや日常生活で使われる英語力を測ることを目的にした試験です。アメリカのETS(Educational Testing Service)が開発し、日本では一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が運営しています。
受験者数は国内だけで年間約270万人にのぼり、日本で最もメジャーな英語検定試験といえます。就職活動や社内の昇進・昇格の基準として活用する企業が多く、特にメーカー・商社・金融・IT業界では「TOEIC 600点以上」などのスコア基準を設けているところも珍しくありません。
試験はリスニング(100問)とリーディング(100問)の合計200問で構成され、所要時間は約2時間。スコアは10〜990点のスケールスコアで表示されます。比較的受験しやすい環境と費用感から、英語学習のスタートラインとして選ぶ人が多い試験です。
TOEFLとは何か
TOEFLは Test of English as a Foreign Language の略で、英語を母国語としない人が英語圏の大学・大学院でどれだけ学術的な英語を使いこなせるかを測る試験です。こちらもETSが開発・運営しています。
現在主流となっているのは TOEFL iBT(Internet-Based Test) で、リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの4技能をオンラインで受験する形式です。スコアは0〜120点で評価されます。
アメリカ・カナダ・イギリス・オーストラリアをはじめ、世界160以上の国と地域の1万2,000以上の大学・大学院がTOEFLスコアを入学審査の資料として使用しています。早稲田大学・慶應義塾大学・東京大学などの国内大学の国際プログラムでも出願条件としてTOEFLを指定するケースが増えています。
2つの試験の根本的な違い
一言で表すなら、TOEICは「ビジネス英語力」、TOEFLは「アカデミック英語力」を測る試験です。どちらが難しいかという問いにはなく、測定している英語の種類が根本的に異なります。
| 項目 | TOEIC | TOEFL iBT |
|---|---|---|
| 目的 | ビジネス・日常英語の測定 | アカデミック英語の測定 |
| 主な用途 | 就職活動・昇進・社内評価 | 海外留学・大学院進学 |
| スコア範囲 | 10〜990点 | 0〜120点 |
| 試験時間 | 約2時間 | 約3時間 |
| スピーキング・ライティング | なし(L&Rのみ) | あり(4技能) |
上の表の通り、TOEICはリスニングとリーディングの2技能のみを測りますが、TOEFLは話す・書く能力も含む4技能すべてを評価します。使用場面が異なるため、まず「自分の目標は何か」を明確にすることが試験選びの出発点になります。
試験形式と出題内容を比べてみよう
試験を選ぶうえで、具体的な出題内容と形式を知っておくことはとても大切です。勉強の方法や必要なスキルセットが大きく変わるため、自分の得意・不得意と照らし合わせながら確認してみましょう。
TOEICの試験形式
TOEIC L&R(リスニング&リーディング)は全200問の選択式問題です。試験時間はリスニング約45分・リーディング75分の合計120分。マークシート方式のみなので、スピーキングや自由記述は一切出題されません。
リスニングパートでは、写真描写・応答問題・会話・トーク(説明文)の4種類が出題されます。リーディングパートでは、文法・語彙・長文読解が中心で、ビジネスメールや社内通知・広告など実際のビジネスシーンで登場するような英文が多く使われます。
「TOEICはビジネス英語だから難しそう」と思う方もいますが、ビジネス用語の知識より基本的な文法力と読解スピードのほうがスコアに直結します。初受験でも400〜500点台のスコアが出る人が多く、まず英語力の現在地を知るための試験として向いています。
TOEFLの試験形式
TOEFL iBTはすべてコンピュータ上で行われます。リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの4セクションで構成され、試験時間は約3時間です。
- リーディング:大学の教科書レベルのアカデミックな英文を読み、内容を理解する問題
- リスニング:大学の講義やキャンパス内での会話を聞いて答える問題
- スピーキング:画面に表示されたトピックについて、マイクに向かって英語で話す問題
- ライティング:読んで聞いた内容をまとめたり、自分の意見を英文で書く問題
特に日本人が苦手とするのがスピーキングとライティングのセクションです。単語の知識だけでなく、自分の意見を英語で論理的に組み立てる能力が問われます。TOEICで高得点を持っている方でも、TOEFLのスピーキングで苦戦するケースは少なくありません。
難易度の比較
「TOEICとTOEFL、どちらが難しい?」という質問はよく受けますが、正確には測っているものが違うため単純比較はできません。ただ、一般的に言われているのは次の通りです。
| 比較の観点 | TOEIC | TOEFL iBT |
|---|---|---|
| 語彙レベル | 日常〜ビジネス語彙 | アカデミック語彙(難度高め) |
| 必要なスキル | L&R(聞く・読む) | 4技能(聞く・読む・話す・書く) |
| 初受験のしやすさ | 取り組みやすい | 準備が必要 |
| 対策に必要な学習期間(目安) | 3〜6か月 | 6〜12か月以上 |
一般的にはTOEFL iBTのほうが求められる英語レベルが高く、準備にも時間がかかるとされています。英語初心者の方はまずTOEICで実力を測り、一定のスコアに達してからTOEFL対策に移行するのが現実的なルートです。
スコアの見方と活用場面を知ろう
試験を受けるからには、スコアをどのように活用できるかを事前に把握しておくことが大切です。就職活動・昇進・留学など、目標によって「何点を目指すべきか」が変わってきます。
TOEICのスコアと就職・昇進への活用
TOEICスコアは10〜990点で表示されます。日本企業での活用場面として代表的なのは以下の通りです。
- 600点:英語力を一定水準持つと評価されるラインの目安
- 730点:多くの大手企業が「ビジネスに活かせる英語力」と評価するライン
- 860点:英語を使った業務に自信を持てる上位層のライン
- 900点以上:英語のネイティブレベルに近い高度な理解力の証明
リクルートや資生堂、NTTデータなど大手企業の多くは昇格・海外赴任の要件にTOEICスコアを採用しています。特に就職活動においては「TOEIC 700点以上」と履歴書に書くと語学力のアピールとして有効です。また、大学でのカリキュラムや単位認定にTOEICを活用している大学も多く、例えば立命館大学・明治大学・神奈川大学などでは英語科目の単位認定にTOEICスコアを利用する制度があります。
TOEFLのスコアと留学・大学院進学への活用
TOEFL iBTは0〜120点のスコアで評価されます。留学先の大学・大学院によって求めるスコアは異なりますが、目安として以下を参考にしてください。
| スコア帯 | 活用できる場面の目安 |
|---|---|
| 60〜70点 | 英語圏の専門学校・コミュニティカレッジの一部 |
| 70〜80点 | 英語圏の一般大学への出願(一部) |
| 80〜90点 | 英語圏の一般大学・有名校への出願 |
| 100点以上 | ハーバード・MIT・スタンフォードなどトップ校の基準 |
国内の大学でも、早稲田大学の国際教養学部(SILS)・上智大学の国際教養学部・国際基督教大学(ICU)などではTOEFLスコアを出願要件として定めています。将来的に海外での学術研究やMBA取得を視野に入れているなら、早めにTOEFL対策を始めることをおすすめします。
目的別にどちらを選ぶべきかを考える
試験の特徴が理解できたところで、あなた自身の目的に合った試験はどちらかを一緒に考えてみましょう。「目標から逆算して試験を選ぶ」ことが、最も効率的な英語学習への近道です。
就職活動・ビジネスで英語力を活かしたいならTOEIC
日本国内での就職・転職活動や、社内での英語評価が目的ならまずTOEICを選ぶのが賢明です。理由は3つあります。
- 採用・昇進の基準として広く普及しているため、スコアが直接評価につながりやすい
- 受験費用が比較的安く、年に何度でも受験できるため目標スコアを目指しやすい
- 対策教材が豊富で、独学でも取り組みやすい
例えば、外資系企業や貿易・商社を志望する学生なら「TOEIC 750点以上」を在学中に取得しておくと就活に有利に働きます。社会人の方が昇進・転職に向けて英語力をアピールしたい場合も、TOEICのスコアアップが最短ルートになるケースが多いです。
海外留学・大学院進学を目指すならTOEFL
海外の大学・大学院への進学、または国内大学の英語プログラムへの出願が目標なら、TOEFLの対策を中心に据えることが不可欠です。
留学先でサバイバルできる英語力とは、単に読める・聞けるだけでなく、教授の講義をノートにまとめ、グループディスカッションに参加し、論文を英語で書く力です。TOEFLはまさにそうした「実際に留学生活で必要な英語力」を測るよう設計されています。
TOEFL対策スクールとして実績があるのは、AGOSジャパン(東京・大阪)・スタディサプリENGLISH・iBestEnglishなどです。特にAGOSジャパンはTOEFLと留学カウンセリングを一体で提供しており、ハーバード・コロンビア・LSEなどへの合格実績もあります。
ダブル受験という選択肢
「就職も留学も両方視野に入れている」という方には、段階的にダブル受験する戦略もあります。おすすめの順序は、まずTOEICで600〜730点台を取得し、土台となる英語力を固めてからTOEFL対策に移行することです。
TOEICで鍛えた語彙力・文法力・読解力はTOEFLのリーディング・リスニングにも生きてきます。ダブル取得することで、国内就活でも海外進学でも対応できる強い武器になります。
受験費用と申し込み方法を確認しよう
試験を決める際に見落としがちなのが費用と申し込み手続きです。特にTOEFLは受験費用が高めなので、計画的に準備を進めることが大切です。
TOEICの受験費用と申し込み
TOEIC L&R(公開テスト)の受験費用は1回あたり7,810円(税込)です(2024年時点)。年間10回程度実施されており、IIBCの公式サイトからオンラインで申し込みができます。
試験日程は毎月のように設けられているため、計画的にリベンジ受験がしやすいのもTOEICの特徴です。学生・社会人問わず、学習の進捗に合わせて受験タイミングを選べます。
TOEFLの受験費用と申し込み
TOEFL iBTの受験費用は1回あたり約245米ドル(日本円で約3.5〜3.8万円前後)と、TOEICに比べて大幅に高額です。ETS公式サイト(toefl.ets.org)でアカウントを作成し、希望のテストセンターと日時を選んで申し込みます。
日本国内のテストセンターは主要都市に設置されていますが、希望の日時が埋まっていることも多いため、受験希望日の2〜3か月前には申し込みを済ませることを強くおすすめします。また、自宅受験(Home Edition)という選択肢もあり、インターネット環境とウェブカメラがあれば自宅から受験可能です。
効果的な勉強法と対策リソース
試験の概要をつかんだら、次は実際にどう勉強するかです。独学でも十分に力をつけられますが、目標スコアや準備期間によってはスクールや教材を賢く活用することが近道になります。
TOEIC対策におすすめの教材と学習塾
TOEIC対策の教材は非常に充実しています。特に実績のある教材・サービスを紹介します。
- 「公式TOEIC Listening & Reading 問題集」(ETS公式):本番と同じクオリティの模擬試験で、スコア感覚をつかむのに最適
- 「金のフレーズ(TOEIC L&R TEST 出る単特急)」:TOEIC頻出語彙を効率よく覚えられるロングセラー単語帳
- スタディサプリENGLISH TOEIC対策コース:月額2,178円〜でオンライン完結、スキマ時間に取り組みやすい
- ヒューマンアカデミー・ECC外語学院:通学でしっかり対策したい方向けのTOEICコースあり
これらの教材を組み合わせながら、「語彙→文法→リスニング→模試→復習」のサイクルを繰り返すことが基本的な学習の流れです。特に模試を定期的に受けてスコアの変化を確認することが、モチベーション維持にもつながります。
TOEFL対策におすすめの教材とスクール
TOEFL対策は独学だけでは壁にぶつかりやすく、特にスピーキング・ライティングは第三者からのフィードバックが不可欠です。おすすめのリソースは以下の通りです。
- 「The Official Guide to the TOEFL iBT Test」(ETS公式):最も信頼できる公式対策本。問題形式の理解から始めるならこれ一冊
- 「Magoosh TOEFL」:オンラインの動画+問題演習プラットフォーム。英語での解説が中心だが質が高い
- AGOSジャパン(東京・大阪・名古屋):TOEFL・留学カウンセリング一体型のスクール。スコア保証プランもあり
- iBestEnglish(オンライン):スピーキング・ライティングに特化したオンライン指導が充実
スピーキングは特に練習量がスコアに直結します。Cambly・iTalkiなどのオンライン英会話を活用して、ネイティブ講師と週2〜3回話す習慣をつけることが大きな差を生みます。
独学で進めるための学習ロードマップ
スクールに通えない方でも、正しい順序で学習すれば独学でも目標スコアは十分に狙えます。以下のロードマップを参考にしてみてください。
| フェーズ | 期間の目安 | 主な学習内容 |
|---|---|---|
| フェーズ1:基礎固め | 1〜2か月 | 中学・高校レベルの文法復習、基本語彙1,000語の習得 |
| フェーズ2:技能強化 | 2〜3か月 | リスニング・リーディング多量インプット、シャドーイング |
| フェーズ3:模試演習 | 1〜2か月 | 模擬試験→弱点分析→集中補強のサイクル |
| フェーズ4:本番対策 | 1か月 | タイムマネジメント練習、本番形式での仕上げ |
学習を続けるコツは「週単位の目標を小さく設定する」ことです。「今週は単語を50語覚える」「今日はリスニング問題を20問解く」といった小さな積み重ねが、半年後・1年後の大きな結果につながります。学習記録をノートやアプリ(StudyPlus など)につけておくと、成長の実感が得られてモチベーションの維持にも役立ちます。
まとめ:あなたの目標に合った試験を選ぼう
TOEICとTOEFLの違いについて、基本的な概要から試験形式・スコアの活用場面・勉強法まで一通り解説してきました。最後に、この記事の要点を振り返ってみましょう。
- TOEICはビジネス英語の実力を測る試験で、日本国内の就職・転職・昇進に有利
- TOEFLはアカデミック英語の実力を測る試験で、海外留学・大学院進学に必要
- どちらが難しいかではなく、自分の目標に合った試験を選ぶことが大切
- 初心者はまずTOEICから始め、600〜730点を目標に基礎英語力を固めるのがおすすめ
- 留学を目指すなら早めにTOEFL対策を始め、スピーキング・ライティングの練習を積む
- 独学でも正しいロードマップと継続があれば目標スコアは必ず到達できる
英語は努力が確実に成果につながる分野です。この記事が、あなたの英語学習の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。まずは自分の目標を紙に書き出して、今日から一緒にスタートしましょう!
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