共通テスト英語の基本情報と配点
共通テスト英語は、大学入試において非常に重要な科目の一つです。リーディング100点、リスニング100点の合計200点満点で構成されており、多くの大学で高い配点が設定されています。従来のセンター試験から大きく変わった点として、4技能を意識した実用的な英語力が求められるようになりました。
共通テスト英語の試験構成
リーディング試験の構成
- 試験時間:80分
- 配点:100点
- 大問数:6問
- 特徴:文法問題廃止、長文読解中心
リーディング試験では、従来の文法・語彙問題が完全に廃止され、すべて読解問題で構成されています。短い文章から長文まで、様々な形式の英文を読み解く力が求められます。
大問1から大問3までは比較的短い文章で、日常生活に関連したメールやウェブサイト、パンフレットなどが出題されます。大問4から大問6は長文読解で、学術的な内容や複数の資料を組み合わせた問題が中心となります。
特に注目すべきは、実用的な英語に重点が置かれている点です。単純な和訳ではなく、情報を整理して答える問題や、複数の資料から必要な情報を抜き出す問題が多く出題されています。
共通テスト英語リスニングの特徴
リスニング試験の構成
- 試験時間:約30分(音声再生時間含む)
- 配点:100点
- 大問数:6問
- 特徴:1回読み・2回読みの混在
リスニング試験の大きな変更点は、一部の問題が1回しか読まれないことです。大問1・2は2回読み、大問3から6は1回読みとなっています。
音声の内容も多様化しており、アメリカ英語だけでなく、イギリス英語や非ネイティブスピーカーの英語も含まれています。日常会話からアカデミックな内容まで幅広く出題されるため、様々な場面の英語に慣れておく必要があります。
また、単純に聞き取るだけでなく、図表やグラフと組み合わせた問題も多く、視覚的な情報処理能力も同時に求められます。
配点と合格ライン
難関大学の目標得点
大学レベル | 目標得点 | 得点率 |
---|---|---|
旧帝大・早慶 | 160-180点 | 80-90% |
MARCH・関関同立 | 140-160点 | 70-80% |
中堅私立大学 | 120-140点 | 60-70% |
この表は一般的な目安であり、各大学の配点や他科目との兼ね合いによって必要得点は変わります。重要なのは、自分の志望校の過去の合格者平均点を調べて、具体的な目標を設定することです。
効果的な学習計画の立て方
共通テスト英語で高得点を取るためには、計画的で継続的な学習が不可欠です。試験まで残り時間に応じて、適切な学習スケジュールを組み立てる必要があります。多くの受験生が犯しがちな間違いは、直前期になって慌てて対策を始めることです。
学習開始時期別の対策法
高校2年生からスタートする場合
高校2年生から共通テスト対策を始める場合、基礎力の徹底的な構築が最優先です。この時期は焦る必要がなく、じっくりと英語の土台を固めることができます。
まず最初に取り組むべきは語彙力の強化です。共通テストでは約4,000語程度の語彙力が必要とされており、これは日常的な積み重ねでしか身につきません。単語帳を使った暗記だけでなく、英文の中で単語に出会う機会を増やすことが重要です。
文法については、基本的なルールを確実に理解することから始めます。共通テストでは文法問題は出題されませんが、長文を正確に読むためには文法知識が不可欠です。特に、関係詞、仮定法、分詞構文などの複雑な構文は、長文読解で頻出します。
この段階では、毎日最低30分の英語学習時間を確保し、語彙・文法・読解をバランスよく学習することを推奨します。
高校3年生春からの集中対策
基礎固めと実践演習のバランス
高校3年生の春から対策を始める場合は、基礎固めと実践演習を並行して進める必要があります。時間に余裕がないため、効率的な学習が求められます。
語彙については、共通テスト頻出単語に絞り込んだ学習が効果的です。過去問分析に基づいた単語帳を使用し、1日100語ずつ覚えて定期的に復習するサイクルを作ります。
読解力向上のために、毎日1題の長文読解を習慣化します。最初は時間を気にせず、辞書を使いながらでも構いません。重要なのは、正確に内容を理解する力を身につけることです。
リスニング対策も並行して行います。週3回、30分程度のリスニング練習を継続し、徐々に難しい内容にチャレンジしていきます。
直前期の総仕上げ法
実践的な演習と弱点補強
試験3か月前からは、実践的な演習に重点を置きます。過去問や模擬試験を使って、本番と同じ時間配分で解く練習を重ねます。
この時期の学習ポイントは以下の通りです:
- 時間配分の最適化:各大問にかける時間を決めて、その時間内で解き切る練習
- 弱点の集中補強:模擬試験の結果から弱点を特定し、該当分野を重点的に学習
- メンタル面の調整:長時間の集中力を維持する訓練
特に重要なのは、間違えた問題の徹底的な分析です。なぜ間違えたのか、どうすれば正解できたのかを明確にし、同じ間違いを繰り返さないようにします。
リーディング攻略法
共通テストのリーディングは、80分で約6,000語の英文を読む必要があります。これは相当な読解スピードが要求されるため、効率的な読み方をマスターすることが高得点への鍵となります。従来のセンター試験と比較して、文章量が大幅に増加している点に注意が必要です。
速読テクニックの習得
スキミングとスキャニングの使い分け
速読の基本テクニックとして、スキミングとスキャニングの使い分けが重要です。
スキミングは文章全体の大まかな内容を把握する読み方で、主題文や結論部分に注目して読みます。一方、スキャニングは特定の情報を探す読み方で、設問で問われている内容に関連するキーワードを探しながら読みます。
実際の試験では、まず設問を読んで何が問われているかを確認し、その後で本文を読むという設問先読み法が効果的です。これにより、必要な情報に焦点を当てて読むことができ、時間短縮につながります。
読解スピードを上げるためには、音読に頼らないことも重要です。心の中で音読していると、読解スピードが話すスピードに制限されてしまいます。視覚的に英文を理解する訓練を積むことで、飛躍的に読解スピードが向上します。
大問別攻略ポイント
大問1・2:短文読解のコツ
大問1・2は比較的短い文章で構成されており、情報整理能力が試されます。メールやウェブサイト、広告などの実用的な英文が多く出題されます。
これらの問題では、必要な情報を素早く見つけることがポイントです。時間、場所、人物、料金などの具体的な情報が問われることが多いため、数字や固有名詞に注意を払いながら読みます。
また、複数の情報源から情報を組み合わせる問題も頻出です。メモを取りながら読む習慣をつけ、重要な情報を整理しながら進めることが効果的です。
大問3・4:中文読解の戦略
大問3・4では、論理的思考力が重要になります。文章の構造を理解し、筆者の主張と根拠の関係を把握する必要があります。
段落ごとの要点を簡潔にメモしながら読み、文章全体の流れを把握します。特に、「however」「therefore」「in conclusion」などの論理マーカーに注意を払い、文章の展開を追いかけます。
設問では、文章の主旨や筆者の意図を問う問題が多いため、行間を読む能力も必要です。明示されていない筆者の考えを、文脈から推測する練習を積み重ねることが重要です。
時間配分の最適化
効率的な時間管理法
共通テストリーディングでは、時間配分が合否を左右します。以下の時間配分を参考に、自分なりの戦略を立てましょう。
推奨時間配分:
- 大問1:8分
- 大問2:12分
- 大問3:15分
- 大問4:15分
- 大問5:15分
- 大問6:15分
この時間配分は一つの目安であり、自分の得意・不得意に応じて調整する必要があります。模擬試験を通じて、最適な時間配分を見つけることが重要です。
時間が足りない場合は、部分点を狙う戦略も有効です。すべての問題を完璧に解こうとせず、確実に点数が取れる問題に集中することで、総合得点を最大化できます。
リスニング対策の実践法
共通テストのリスニングは、多様な英語に対応する力が求められます。アメリカ英語だけでなく、イギリス英語や非ネイティブスピーカーの英語も含まれるため、幅広い音に慣れる必要があります。また、1回しか読まれない問題があるため、一発で聞き取る集中力も重要です。
基礎的な聞き取り力の向上
発音とリンキングの理解
リスニング力向上の基礎は、英語の音の特徴を理解することです。日本人が苦手とする音として、LとRの区別、THの音、BとVの区別などがあります。
特に重要なのはリンキング(音の連結)の理解です。「want to」が「ワナ」に聞こえるように、単語同士がつながって発音されることが多々あります。このような音の変化を理解していないと、知っている単語でも聞き取れません。
効果的な練習方法として、シャドーイングがあります。音声と同時に英語を口に出すことで、英語のリズムや音の変化を体で覚えることができます。最初は難しく感じますが、継続することで確実にリスニング力が向上します。
問題形式別の攻略法
1回読み問題への対応
大問3から6の1回読み問題では、集中力の持続が最も重要です。音声が流れる前に、設問と選択肢を素早く確認し、何を聞き取ればよいかを明確にします。
メモを取る際は、キーワードのみを素早く書きます。完璧な文章を書こうとすると、次の内容を聞き逃してしまいます。数字、固有名詞、動詞などの重要な情報に絞ってメモを取りましょう。
音声を聞いている最中に分からない部分があっても、立ち止まらないことが重要です。一つの部分に集中しすぎると、その後の重要な情報を聞き逃す可能性があります。
図表問題の解法
共通テストの特徴的な問題として、図表と音声を組み合わせた問題があります。これらの問題では、視覚情報と聴覚情報を同時に処理する能力が求められます。
事前に図表を確認し、何について説明されるかを予測します。グラフの軸、表の項目、地図の地名などを事前に把握しておくことで、音声の内容を理解しやすくなります。
音声が流れている間は、該当箇所を指で追いかけることも効果的です。視覚的に情報を整理することで、より正確に内容を把握できます。
継続的な学習方法
日常的なリスニング習慣
リスニング力は一朝一夕では身につきません。毎日少しずつでも継続することが最も重要です。
効果的な教材として以下があります:
- 英語ニュース:BBC、CNN、NHK WORLDなどの短いニュースから始める
- ポッドキャスト:興味のある分野の英語ポッドキャストを聞く
- YouTube動画:英語の解説動画や講演を視聴する
- 映画・ドラマ:英語字幕付きで視聴し、徐々に字幕なしに挑戦
重要なのは、理解できるレベルから始めることです。難しすぎる教材は挫折の原因となるため、8割程度理解できる内容から始めて、徐々にレベルを上げていきます。
頻出文法・語彙の攻略
共通テストでは直接的な文法問題は出題されませんが、正確な読解とリスニングのためには文法知識が不可欠です。また、約4,000語の語彙力が必要とされており、効率的な語彙学習方法を身につけることが高得点への近道となります。
重要文法項目の整理
長文読解に必須の文法事項
共通テストの長文を正確に読むために、特に重要な文法事項をまとめました。
関係詞の完全マスター
関係詞は長文読解で最も頻出する文法項目の一つです。主格、目的格、所有格の関係代名詞に加え、関係副詞(where、when、why、how)の用法も確実に理解する必要があります。
特に注意が必要なのは非制限用法です。カンマで区切られた関係詞節は、前の名詞を限定するのではなく、追加情報を提供する役割があります。この違いを理解していないと、文章の意味を正確に把握できません。
仮定法の実用的理解
仮定法は英語らしい表現を理解する上で重要です。If I were youのような基本的な仮定法過去から、I wish I couldのような願望表現まで、様々なパターンがあります。
現代英語では、would rather、as if、It’s timeなどの慣用表現での仮定法使用も頻出します。これらは丸暗記ではなく、なぜ仮定法が使われるのかという概念理解が重要です。
効率的な語彙学習法
システマティックな単語学習
語彙力4,000語を効率的に身につけるためには、科学的な記憶方法を活用する必要があります。
分散学習の活用
人間の記憶は、一度に大量に覚えるよりも、少量を繰り返し学習する方が定着します。エビングハウスの忘却曲線に基づき、1日後、3日後、1週間後、2週間後に復習するサイクルを作ります。
語源・接辞の活用
効率的な語彙拡張には、語源知識が有効です。例えば「spect」(見る)という語根を覚えれば、expect(期待する)、respect(尊敬する)、inspect(検査する)などの関連語を体系的に理解できます。
主要な接頭辞・接尾辞:
- pre-(前に):preview、predict、prepare
- re-(再び):review、repeat、return
- -tion(名詞化):education、information、creation
- -ly(副詞化):quickly、carefully、probably
これらのパターンを理解することで、知らない単語でも意味を推測できる力が身につきます。
文脈の中での語彙学習
単語帳での暗記も重要ですが、実際の文章の中で語彙に出会うことが最も効果的です。同じ単語でも、使われる文脈によって微妙にニュアンスが変わることがあります。
読解練習と語彙学習を組み合わせることで、生きた英語を身につけることができます。分からない単語に出会った時は、辞書で確認するだけでなく、その単語が使われている文脈も含めて理解することが重要です。
語法とコロケーションの習得
自然な英語表現の習得
共通テストでは、自然な英語表現に関する理解も問われます。文法的には正しくても、実際には使われない表現があることを理解する必要があります。
重要なコロケーション例
- make:make a decision(決定を下す)、make progress(進歩する)
- take:take responsibility(責任を取る)、take advantage(利用する)
- get:get used to(慣れる)、get along with(仲良くやる)
これらの表現は丸暗記ではなく、使用場面をイメージしながら覚えることが重要です。実際の使用例に触れることで、適切な場面で使える知識として定着します。
模試・過去問の活用術
模擬試験と過去問は、共通テスト対策において最も重要な教材です。しかし、単に問題を解くだけでは効果は限定的です。戦略的な活用方法を身につけることで、飛躍的に成績を向上させることができます。
効果的な模試の受け方
模試受験の心構え
模試は本番のシミュレーションとして活用することが重要です。本番と同じ条件で受験し、時間配分や集中力の持続について確認します。
模試当日の流れ:
- 試験開始前:リラックスした状態を保ち、簡単な英単語の確認程度に留める
- 試験中:時間配分を意識し、分からない問題で立ち止まらない
- 試験後:できた問題とできなかった問題を明確に区別する
模試では満点を目指さないことも重要です。現在の実力を正確に測定し、弱点を発見することが主目的です。無理をして時間をかけすぎると、本来の実力が測れなくなります。
復習方法の最適化
科学的な復習アプローチ
模試の真の価値は復習過程にあります。効果的な復習により、同じ間違いを繰り返さない力を身につけます。
4段階復習法
- 即日復習:試験当日に、記憶が鮮明なうちに見直しを行う
- 詳細分析:翌日以降に、なぜ間違えたのかを徹底的に分析
- 類似問題演習:間違えた分野の類似問題で理解を深める
- 定期確認:1週間後、1ヶ月後に同じ問題を解き直す
特に重要なのは間違いの分類です。「知識不足」「理解不足」「ケアレスミス」「時間不足」のどれに該当するかを明確にし、それぞれに適した対策を講じます。
弱点分野の特定と対策
模試結果から具体的な弱点を抽出し、重点的に学習する分野を決定します。
弱点分析の観点:
- 分野別得点率:リーディング・リスニングそれぞれの得点率を確認
- 問題形式別:長文読解、図表問題、会話問題など形式別の成績
- 時間配分:各大問にかけた時間と得点率の関係
この分析に基づいて、優先順位をつけた学習計画を立てます。全分野を均等に学習するよりも、弱点分野に集中することで効率的に成績向上を図れます。
過去問演習の戦略
系統的な過去問活用
過去問は共通テストの出題傾向を知るための最良の教材です。ただし、共通テストは2021年から始まったため、利用できる過去問は限られています。
利用可能な教材
- 共通テスト過去問:2021年〜現在(本試験・追試験含む)
- 試行調査:2017年・2018年実施分
- 予想問題集:各予備校が作成した良質な予想問題
これらの教材を段階的に活用することで、共通テストの特徴を把握し、効果的な対策を講じることができます。
本番直前の総仕上げ
試験1ヶ月前からは、実践的な演習に集中します。過去問を本番と同じ時間割で解き、体力面・精神面での準備も行います。
直前期の学習ポイント:
- 新しい知識の詰め込みを避ける:既習事項の確認・定着を重視
- コンディション調整:規則正しい生活リズムの維持
- メンタルケア:適度な息抜きとリラックス方法の確立
この時期は完璧を目指さず、現在持っている力を最大限発揮することに集中します。新しい参考書に手を出すよりも、使い慣れた教材での復習を中心とした学習が効果的です。