受動態の基本概念を理解しよう
受動態は英語学習において重要な文法要素の一つですが、多くの学習者が苦手意識を持っています。しかし、基本的な仕組みを理解すれば、決して難しいものではありません。受動態をマスターすることで、より自然で豊かな英語表現が可能になります。
受動態とは何か
受動態(Passive Voice)とは、動作を受ける側(目的語)を主語にして表現する文法構造です。能動態では「誰が何をするか」に焦点を当てるのに対し、受動態では「何が誰によってされるか」に注目します。
例えば、能動態「Tom wrote this letter.(トムがこの手紙を書いた)」を受動態にすると「This letter was written by Tom.(この手紙はトムによって書かれた)」となります。
日本語でも「手紙が書かれた」という表現があるように、受動態は私たち日本人にとって理解しやすい概念といえるでしょう。英語の受動態も同様の考え方で、動作の対象が文の主役になる表現方法です。
受動態を使う最大のメリットは、動作の実行者よりも動作の結果や対象に焦点を当てられることです。ニュースや学術文書、日常会話でも頻繁に使われるため、英語学習者にとって必須のスキルです。
能動態と受動態の違い
能動態と受動態の根本的な違いは、文の主語が何かという点にあります。能動態では動作をする人や物が主語になりますが、受動態では動作を受ける人や物が主語になります。
文の種類 | 主語 | 例文 |
---|---|---|
能動態 | 動作をする人・物 | Mary cleans the room. |
受動態 | 動作を受ける人・物 | The room is cleaned by Mary. |
この違いを理解することで、情報の伝え方を変えることができます。能動態は「誰が何をしたか」を明確にしたい場合に適しており、受動態は「何がどうなったか」を強調したい場合に効果的です。
また、受動態では動作の実行者(by以下の部分)を省略することも可能です。「The room is cleaned.」のように、誰がしたかよりも結果が重要な場合によく使われます。これは、実行者が不明な場合や、あえて言及したくない場合にも便利な表現方法です。
受動態を使う場面とメリット
受動態を使う主な場面は以下の通りです。まず、動作の実行者が不明または重要でない場合です。「My bike was stolen.(私の自転車が盗まれた)」のように、犯人が分からない状況で使われます。
次に、客観的な記述をしたい場合です。科学的な報告書や新聞記事では「The experiment was conducted(実験が行われた)」のような表現が好まれます。これは、誰がしたかよりも事実そのものに注目するためです。
さらに、丁寧さや遠回しな表現を求める場面でも受動態が活用されます。「You made a mistake.」よりも「A mistake was made.」の方が、直接的な非難を避けた婉曲的な表現になります。
ビジネスシーンでは特に重宝され、「The decision has been made(決定がなされました)」のような表現で、責任の所在を曖昧にしながら情報を伝えることができます。
受動態の基本的な作り方
受動態の作り方は一定のルールに従って行います。基本パターンを覚えてしまえば、様々な時制や文型に応用できるようになります。最初は単純な形から始めて、徐々に複雑な構造へとステップアップしていきましょう。
be動詞+過去分詞の基本形
受動態の最も基本的な形は「be動詞+過去分詞」です。be動詞は時制や主語に応じて変化し、過去分詞は動詞の第3変化形を使用します。
現在時制の場合:「am/is/are + 過去分詞」
過去時制の場合:「was/were + 過去分詞」
例えば、「write(書く)」という動詞の場合、過去分詞は「written」なので、「The letter is written.(手紙が書かれる)」「The letter was written.(手紙が書かれた)」となります。
重要なポイントは、主語の人称と数に応じてbe動詞を適切に選ぶことです。「He is chosen.(彼が選ばれる)」「They are chosen.(彼らが選ばれる)」「I was invited.(私は招待された)」「We were invited.(私たちは招待された)」のように変化します。
不規則動詞の過去分詞は暗記が必要ですが、規則動詞の場合は動詞の原形に「-ed」を付けるだけで作れます。「clean→cleaned」「use→used」「play→played」といった具合に、パターンを覚えることで効率的に学習できます。
時制別の受動態の作り方
受動態は様々な時制で表現できます。基本的には能動態の時制と同じ時間の概念を受動態でも表現しますが、be動詞の形を変えることで時制を表します。
現在完了の受動態は「have/has been + 過去分詞」、過去完了は「had been + 過去分詞」、未来時制は「will be + 過去分詞」となります。
時制 | 受動態の形 | 例文 |
---|---|---|
現在 | am/is/are + 過去分詞 | The book is read. |
過去 | was/were + 過去分詞 | The book was read. |
現在完了 | have/has been + 過去分詞 | The book has been read. |
過去完了 | had been + 過去分詞 | The book had been read. |
未来 | will be + 過去分詞 | The book will be read. |
現在進行形の受動態「am/is/are being + 過去分詞」は、現在進行中の動作を受動態で表現します。「The house is being built.(家が建設されている)」のように、まさに今行われている動作を示します。
これらの時制を使い分けることで、より正確で豊かな表現が可能になります。文脈に応じて適切な時制を選択することが、自然な英語を話すための重要な要素です。
疑問文と否定文の作り方
受動態の疑問文は、be動詞を主語の前に出すことで作ります。「Is the letter written?(手紙は書かれていますか?)」「Were you invited?(あなたは招待されましたか?)」のように、通常のbe動詞の疑問文と同じルールです。
疑問詞を使った疑問文では、「What was written?(何が書かれましたか?)」「When was the letter written?(手紙はいつ書かれましたか?)」「Who was invited?(誰が招待されましたか?)」のように表現します。
否定文は、be動詞の後に「not」を置くだけです。「The letter is not written.(手紙は書かれていない)」「They were not invited.(彼らは招待されなかった)」となります。
助動詞がある場合の疑問文は、「Will the project be completed?(プロジェクトは完了されるでしょうか?)」「Has the decision been made?(決定はなされましたか?)」のように、助動詞を文頭に出します。否定文では「The project will not be completed.(プロジェクトは完了されないでしょう)」「The decision has not been made.(決定はまだなされていない)」となります。
これらの変形パターンを理解することで、様々な場面で適切な受動態を使いこなせるようになります。
by以下の表現方法
受動態では、動作の実行者を「by + 名詞」で表現します。「The book was written by Shakespeare.(この本はシェイクスピアによって書かれた)」のように、動作をした人や物を明示できます。
ただし、実際の英語ではby以下を省略することが多くあります。動作の実行者が明らかな場合、重要でない場合、または知らない場合には省略されます。「The window was broken.(窓が割られた)」「English is spoken here.(ここでは英語が話されています)」のような例です。
by以外の前置詞も使用されることがあります。道具や手段を表す場合は「with」、原因を表す場合は「from」や「by」が使われます。「The door was opened with a key.(ドアは鍵で開けられた)」「The tree was damaged by the storm.(木は嵐で被害を受けた)」といった表現です。
省略の判断は文脈によりますが、聞き手が実行者を知っている場合、一般的な事実を述べる場合、実行者よりも結果が重要な場合には省略することが自然です。この感覚を身につけることで、より自然な英語表現ができるようになります。
受動態でよく使われる動詞パターン
受動態で頻繁に使われる動詞には特定のパターンがあります。これらの動詞とその変化形を覚えることで、受動態の理解と使用がスムーズになります。日常会話からビジネスシーンまで、様々な場面で役立つ実用的な動詞を中心に学習しましょう。
規則動詞の受動態
規則動詞の受動態は、動詞の原形に「-ed」を付けて過去分詞を作ります。発音とスペリングのルールを覚えれば、多くの動詞に応用できる便利なパターンです。
基本的な規則動詞には以下のようなものがあります:
- clean(掃除する)→ cleaned
- use(使う)→ used
- invite(招待する)→ invited
- finish(終える)→ finished
- create(作る)→ created
これらの動詞を使った受動態の例文を見てみましょう。「The room is cleaned every day.(部屋は毎日掃除されます)」「This computer is used by many people.(このコンピューターは多くの人に使われています)」「We were invited to the party.(私たちはパーティーに招待されました)」といった表現が可能です。
語尾の変化にも注意が必要です。「study→studied」(yをiに変えてed)、「stop→stopped」(最後の子音字を重ねてed)など、基本ルールに従って変化します。
これらの規則動詞は日常会話で非常によく使われるため、受動態での使い方をマスターすることで、より自然な英語表現ができるようになります。
不規則動詞の重要パターン
不規則動詞の過去分詞は暗記が必要ですが、よく使われるものから優先的に覚えることで効率的に学習できます。受動態で特に重要な不規則動詞をパターン別に整理してみましょう。
同じ形のパターン:
- cut(切る)→ cut
- put(置く)→ put
- hit(打つ)→ hit
母音変化のパターン:
- write(書く)→ written
- give(与える)→ given
- take(取る)→ taken
- break(壊す)→ broken
原形 | 過去形 | 過去分詞 | 受動態の例 |
---|---|---|---|
make | made | made | It was made in Japan. |
see | saw | seen | He was seen at the station. |
know | knew | known | It is known worldwide. |
speak | spoke | spoken | English is spoken here. |
これらの不規則動詞は使用頻度が高いため、受動態での使い方を習得することで表現力が大幅に向上します。
「The decision was made yesterday.(決定は昨日なされました)」「The story is well known.(その話はよく知られています)」「This product is made in Germany.(この製品はドイツ製です)」など、日常的に使われる表現ばかりです。
感情を表す動詞の受動態
感情を表す動詞の受動態は、特に日本人学習者が混乱しやすい分野です。「interest(興味を持たせる)」「surprise(驚かせる)」「excite(興奮させる)」などの動詞は、受動態で使うことで「〜している状態」を表現します。
能動態と受動態の意味の違いを理解することが重要です:
- The movie interests me.(その映画が私に興味を持たせる)
- I am interested in the movie.(私はその映画に興味を持っている)
よく使われる感情動詞の受動態:
- be interested in(〜に興味がある)
- be surprised at/by(〜に驚く)
- be excited about(〜に興奮している)
- be worried about(〜を心配している)
- be satisfied with(〜に満足している)
「I was surprised by the news.(そのニュースに驚きました)」「She is worried about the exam.(彼女は試験を心配しています)」「We are excited about the trip.(私たちは旅行にワクワクしています)」など、感情や状態を表現する際に頻繁に使われます。
これらの表現は日常会話で非常によく登場するため、正しい使い方を覚えることで、より自然で豊かな英語コミュニケーションが可能になります。
ビジネスでよく使う受動態
ビジネスシーンでは、受動態が頻繁に使用されます。客観性を保ち、責任の所在を曖昧にしたり、丁寧な表現をするために活用されることが多いです。
会議や報告でよく使われる表現:
- The meeting has been scheduled.(会議がスケジュールされました)
- The project will be completed next month.(プロジェクトは来月完了予定です)
- The decision was made by the board.(決定は取締役会によってなされました)
- The proposal is being reviewed.(提案が検討されています)
メールや文書でよく見る表現:
- Your application has been received.(あなたの申請を受理いたしました)
- The payment will be processed within 3 days.(支払いは3日以内に処理されます)
- The issue is being investigated.(問題が調査されています)
- Further information will be provided.(追加情報が提供される予定です)
これらのビジネス表現を使いこなすことで、プロフェッショナルな英語コミュニケーションができるようになります。特に、責任の所在を明確にしたくない場合や、客観的な事実を述べる場合に受動態は非常に有効です。
また、「It is recommended that…(〜することが推奨されます)」「It is required that…(〜することが求められます)」のような非人称の表現も、ビジネスシーンでよく使われる受動態の応用形です。
受動態の応用と注意点
受動態をより高度に活用するためには、基本形だけでなく様々な応用パターンを理解する必要があります。また、よくある間違いを避けることで、より正確で自然な英語表現ができるようになります。
完了形の受動態
完了形の受動態は、過去のある時点までに完了した動作や、現在まで続いている状態を受動的に表現する際に使用します。現在完了、過去完了、未来完了それぞれに受動態の形があります。
現在完了の受動態「have/has been + 過去分詞」は、過去から現在までの結果や経験を表します。「The bridge has been built.(橋が建設されました)」「This book has been read by many people.(この本は多くの人に読まれています)」のような使い方です。
過去完了の受動態「had been + 過去分詞」は、過去のある時点より前に完了していた動作を表現します。「The work had been finished before he arrived.(彼が到着する前に仕事は終わっていました)」のように、時系列を明確にする際に重要な表現です。
未来完了の受動態「will have been + 過去分詞」は、将来のある時点までに完了している動作を表します。「The project will have been completed by next month.(プロジェクトは来月までに完了しているでしょう)」といった表現で使われます。
これらの完了形受動態は、時間的な関係を正確に表現したい場合に不可欠です。特にビジネスや学術的な文章では頻繁に使用されるため、使い方をマスターすることが重要です。
進行形の受動態
進行形の受動態「be being + 過去分詞」は、現在進行中の動作を受動的に表現します。「The house is being built.(家が建設中です)」「The car was being repaired.(車は修理中でした)」のように、動作が継続している状況を示します。
現在進行形の受動態は現在進行中の動作を表し、過去進行形の受動態は過去のある時点で進行中だった動作を表現します。「The meeting is being held now.(会議が今開催されています)」「The report was being written when I called.(私が電話した時、レポートが書かれている最中でした)」といった使い方です。
ただし、進行形の受動態はやや複雑な構造のため、日常会話ではあまり使われません。主に、正式な文書や報告書、ニュースなどで使用されることが多い表現です。
また、未来進行形の受動態「will be being + 過去分詞」は文法的には可能ですが、実際にはほとんど使用されません。代わりに「will be + 過去分詞」や他の表現が好まれます。
進行形の受動態を使う際は、文脈を考慮して適切かどうか判断することが大切です。より簡潔で自然な表現があれば、そちらを選ぶのが賢明でしょう。
よくある間違いと対策
受動態学習でよくある間違いを理解し、対策を講じることで効率的に上達できます。日本人学習者が特に注意すべきポイントを整理してみましょう。
最も多い間違いはbe動詞の省略です。「The letter written yesterday.」のように、be動詞を忘れてしまうケースがあります。正しくは「The letter was written yesterday.」となります。受動態では必ずbe動詞が必要であることを意識しましょう。
時制の一致も重要なポイントです。「Yesterday, the letter is written.」ではなく「Yesterday, the letter was written.」のように、時制を適切に合わせる必要があります。
自動詞を受動態にしてしまう間違いもよく見られます。「happen」「occur」「arrive」などの自動詞は受動態にできません。「The accident was happened.」は間違いで、「The accident happened.」が正しい表現です。
過去分詞の形を間違えることも多い問題です。不規則動詞の過去分詞は暗記が必要で、「The book was wrote.」ではなく「The book was written.」が正解です。
間違い例 | 正しい表現 | 説明 |
---|---|---|
The letter written. | The letter was written. | be動詞が必要 |
The accident was happened. | The accident happened. | 自動詞は受動態不可 |
The book was wrote. | The book was written. | 過去分詞の形が間違い |
これらの間違いを避けるためには、基本ルールを確実に覚え、多くの例文に触れることが効果的です。
受動態を避けるべき場面
受動態は便利な表現ですが、使わない方が良い場面もあります。適切な判断ができるようになることで、より自然で効果的な英語表現ができるようになります。
明確性を重視する場面では能動態の方が適しています。「Mistakes were made.」より「I made mistakes.」の方が、責任の所在が明確で誠実な印象を与えます。特に謝罪や説明の際は、能動態を使うことで信頼性が向上します。
簡潔さが求められる場面でも能動態が好まれます。「The report will be written by me.」より「I will write the report.」の方が短く、分かりやすい表現です。日常会話では特に、シンプルな能動態の方が自然に聞こえます。
感情的な表現や個人的な体験を語る際も、能動態の方が効果的です。「I love this movie.」と「This movie is loved by me.」では、前者の方が感情が伝わりやすく、自然な表現です。
また、動作の主体が重要な場合は能動態を使うべきです。「Einstein discovered the theory of relativity.」のように、発見者が重要な情報である場合は、受動態にする必要がありません。
適切な使い分けができるようになることで、状況に応じた最適な表現を選択できるようになります。
実践的な受動態の使い方
受動態を実際の場面で効果的に使うためには、理論だけでなく実践的な応用方法を学ぶことが重要です。日常会話からビジネス、学術的な文章まで、様々なシチュエーションでの活用法を身につけましょう。
日常会話での受動態
日常会話では、受動態は自然で丁寧な表現を作るのに役立ちます。直接的すぎる表現を避けたり、客観的な事実を述べる際によく使われます。
よく使われる日常表現:
- My car was stolen.(車を盗まれました)
- The store is closed.(お店は閉まっています)
- This song is loved by everyone.(この歌はみんなに愛されています)
- The meeting has been cancelled.(会議は中止になりました)
買い物や外食でも受動態が活用されます。「This dish is made with fresh ingredients.(この料理は新鮮な食材で作られています)」「The restaurant is known for its pasta.(そのレストランはパスタで有名です)」など、商品やサービスの説明でよく見かけます。
トラブルや問題を報告する際も受動態が便利です。「The train was delayed.(電車が遅れました)」「My phone was broken.(携帯電話が壊れました)」のように、責任の所在を明確にしなくても状況を伝えられます。
これらの表現を自然に使えるようになることで、より豊かで適切な英語コミュニケーションが可能になります。特に、相手に配慮した丁寧な表現として受動態は非常に有効です。
ニュースや新聞での受動態
報道関係では受動態が頻繁に使用されます。客観的な事実を伝え、感情的な表現を避けるために、受動態は報道文体の重要な要素となっています。
ニュースでよく見る受動態表現:
- The new law was passed yesterday.(新しい法律が昨日可決されました)
- Three people were injured in the accident.(事故で3人が負傷しました)
- The suspect has been arrested.(容疑者が逮捕されました)
- The building will be demolished next month.(その建物は来月解体される予定です)
経済ニュースでも受動態は多用されます。「The interest rate was raised by 0.5%.(金利が0.5%引き上げられました)」「New jobs were created in the technology sector.(テクノロジー分野で新しい雇用が創出されました)」など、客観的な事実を伝える際に効果的です。
スポーツ報道においても、「The record was broken by the young athlete.(その記録は若いアスリートによって破られました)」「The match was won in the final minutes.(試合は最後の数分で勝負が決まりました)」のような表現が一般的です。
これらの報道文体に慣れることで、英語のニュースを理解しやすくなり、また自分でも客観的な文章を書けるようになります。
学術文書での受動態
学術的な文章では、受動態が特に重要な役割を果たします。研究の客観性を保ち、著者の個人的な意見を排除するために、受動態が積極的に使用されます。
研究論文でよく使われる受動態表現:
- The experiment was conducted under controlled conditions.(実験は管理された条件下で行われました)
- The data were analyzed using statistical software.(データは統計ソフトウェアを使用して分析されました)
- It was found that…(〜であることが発見されました)
- The results were obtained through careful observation.(結果は注意深い観察によって得られました)
科学的な記述では、研究者個人よりも研究内容そのものに焦点を当てるため、受動態が好まれます。「We discovered that…」よりも「It was discovered that…」の方が、客観的で学術的な印象を与えます。
方法論の説明でも受動態が多用されます。「The samples were prepared according to standard procedures.(サンプルは標準的な手順に従って準備されました)」「The survey was administered to 1,000 participants.(調査は1,000人の参加者に実施されました)」など、研究の再現性を重視した表現です。
また、結論や考察においても、「It is concluded that…(〜であると結論される)」「It is suggested that…(〜であることが示唆される)」のような受動態表現が一般的です。
これらの学術的表現を習得することで、専門的な文書の読解力が向上し、自分でも研究レポートや論文を書く際に適切な文体を使用できるようになります。
効果的な受動態練習法
受動態を効果的に習得するためには、段階的で実践的な練習方法が重要です。理論を学んだ後は、実際に使える技能として定着させるための練習を継続的に行いましょう。
変換練習から始めることをお勧めします。能動態の文を受動態に変換する練習を繰り返すことで、基本的な構造を身につけられます。
練習例:
- Active: Tom wrote this letter. → Passive: This letter was written by Tom.
- Active: They will finish the project. → Passive: The project will be finished by them.
- Active: Someone stole my bike. → Passive: My bike was stolen.
時制別の練習も重要です。同じ動詞を使って、現在・過去・未来・完了形など様々な時制の受動態を作る練習を行います。「write」という動詞で、「is written」「was written」「will be written」「has been written」などのパターンを覚えましょう。
文脈を意識した練習では、実際の場面を想定して受動態を使います。ニュース記事の要約、商品の説明、事故の報告など、受動態が自然に使われる場面での表現練習が効果的です。
練習方法 | 効果 | 具体例 |
---|---|---|
変換練習 | 基本構造の習得 | 能動態→受動態の変換 |
時制練習 | 時制の使い分け | 同一動詞の時制変化 |
文脈練習 | 実用的な応用力 | 場面別の表現練習 |
音読練習も非常に効果的です。受動態の文を繰り返し音読することで、語順やリズムが身につき、自然に口から出るようになります。
最後に、実際の使用を心がけることが重要です。日記を書く際や英会話の練習で、意識的に受動態を使ってみることで、実践的な技能として定着させることができます。
まとめ – 受動態をマスターして英語力をアップしよう
受動態は英語学習において重要な文法要素ですが、基本的なルールを理解し、継続的に練習することで必ずマスターできます。能動態と受動態の使い分けができるようになることで、より豊かで自然な英語表現が可能になります。
基本的な作り方「be動詞 + 過去分詞」から始めて、様々な時制や文型への応用、そして実際の場面での活用まで、段階的に学習を進めることが効果的です。
日常会話からビジネス、学術文書まで、幅広い場面で受動態は活用されています。適切な場面で適切に使用することで、より洗練された英語コミュニケーションができるようになります。
継続的な練習と実際の使用を通じて、受動態を自然に使いこなせるようになりましょう。英語学習の一つの大きなステップとして、受動態の習得に取り組んでください。